ESD 授業デザインプロジェクト公開研究会 2010 Vol1
地球温暖化に関する「ホッキョクグマとの約束」の実践報告
9月26日 、ESD 授業デザインプロジェクト公開研究会 2010 Vol1(ESD地域・学校教育連携フォーラム)「地球温暖化に関する「ホッキョクグマとの約束」の実践報告」 (主催・ESD学校教育研究会)がさいたま市の大宮中部公民館で行なわれた。
“ESD”とは、持続可能な開発のための教育のことで、2002年のヨハネスブルグ・サミットにおいて日本の市民と政府が提唱し、日本でも政府によるESD国内行動計画が策定され、推進されている。
ESD学校教育研究会は、民間教育研究団体で「学校教育でESD・持続可能な開発ための教育をすすめるための研究会です。地域活動や国際活動に実際に携わっている教員を中心につくられました。主に、ESD授業デザインプロジェクトとして教員の場づくり、教材開発、そして進め方の検討などを行っています」(同研究会)
今回は、「ESDと理科」をテーマに岩手大学教育学部の准教授梶原昌五氏が学生の授業実践を通じてESDの授業を考えるものだ。
まず、ESD 学校教育研究会 の代表浅川和也氏(東海学園大学教授)が、科学教育や理科でどのようにESDを展開したらいいのかなどの問題提起を行った。
次に、岩手大学教育学部の准教授梶原昌五氏が学生が付属小学校で行った総合的学習の時間の授業である地球温暖化に関する「ホッキョクグマとの約束」の実践報告を行った。
岩手大学ではESDを大学教育に取り入れるプロジェクト「持続可能な社会のための教養教育の再構築-「学びの銀河」プロジェクト」行い、教員養成過程でも様々な試みを行っている。
梶原氏は、教育実習とは別に学生に仮想単元として授業案づくりを指導しており、この事例は、ホッキョクグマの減少をきっかけに地球温暖化を考える環境教育単元の開発を行ったものだ。
学生は、児童と学校になじむために児童把握期間として延べ30日学校に通い、全6回の授業を行った。内容としてはプロジェクトワイルドのワークショップや実験、フードマイレージなどの学習を経て、児童が自分たちでできることを考えて実行を約束する「ホッキョクグマとの約束」にまとめたものだ。
コメンテーターの麻布大学環境科学科専任講師の村山史世氏は、理科という科学的知識をもとにした教科で「ホッキョクグマとの約束」という行動に結びつけることができたのは評価できるが、ホッキョクグマをクローズアップした結果、ホッキョクグマの減少が地球温暖化と直接的に結びつけて児童に理解される恐れがあり、理科としてその点をどうするのかを改善した方がよいなどのコメントが寄せられた。
その後のESD 授業デザインワークショップでは、教育課程での学校での仮想単元として授業案づくりや行動に結びつけることが学校としてどうか、ESDとの関連などが論議された。
尚、次回のESD 授業デザインプロジェクト公開研究会 2010 Vol2 「ESD 体験学習が拓く未来」は10月30日にJICA地球ひろばで開催予定とのこと。