ESD 授業デザインプロジェクト公開研究会 2010 Vol2
ESD 体験学習が拓く未来
10月30日 、ESD 授業デザインプロジェクト公開研究会 2010 Vol2(ESD地域・学校教育連携フォーラム)「ESD 体験学習が拓く未来」 (主催・ESD学校教育研究会 協力 社団法人 青年海外協力協(JOCA))が東京のJICA地球ひろばで行なわれた。
"ESD”とは、持続可能な開発のための教育のことで、2002年のヨハネスブルグ・サミットにおいて日本の市民と政府が提唱し、日本でも政府によるESD国内行動計画が策定され、推進されている。
ESD学校教育研究会は、民間教育研究団体で「学校教育でESD・持続可能な開発ための教育をすすめるための研究会です。地域活動や国際活動に実際に携わっている教員を中心につくられました。主に、ESD授業デザインプロジェクトとして教員の場づくり、教材開発、そして進め方の検討などを行っています」(同研究会)
今回は、「ESDと体験学習」をテーマに教員や国際協力機関職員の実践から考えるものだ。
まず、ESD 学校教育研究会 の代表浅川和也氏(東海学園大学教授)が、ESDと体験学習の関係について述べた。
次に、長野県駒ヶ根市立赤穂東小学校の原郁雄氏(横浜市立大学大学院都市社会文化研究科共同研究員)が「体験的学習から得られるもの―ストリート・チルドレン体験を通して― 」として同校で行った貧困に関する体験学習の実践報告を行った。
原氏は、長年の小学校教育で通常の授業(座学)に加えて、参加型学習(ワークショップなど)もすすめてきたが、これらで得られる児童の理解や気づきだけでなく、学習することにより児童が「態度・意識」が変わっていくには、「体験的・体感的学習活動」と「現実的アプーローチ活動」が必要と考えて児童が望むストリート・チルドレン体験を実施した。
このストリート・チルドレン体験は多様な世界や地域の現実を学習する中で児童が自らストリート・チルドレンの問題に強い関心を示したので、このことを中心としたプロジェクト学習とし、座学、参加型学習に加えて「体験的・体感的学習活動」と「現実的アプーローチ活動」を実施した。
それは、学習の後に、児童の提案を活かした「体験的・体感的学習活動」としての校内野宿体験や「現実的アプーローチ活動」としてのストリート・チルドレンのための援助活動である。この中で「体験的・体感的学習活動」を体験に止めず、ストリート・チルドレンのための援助活動という「現実的アプーローチ活動」では、援助が自立をさま妨げる現実や援助の弊害を学び、そのことで自分やクラスを変えていくことができたという。
そして、社団法人 青年海外協力協会は、増田勇希氏は、「外部講師人材の活用について~青年海外協力隊経験者の立場から~」として青年海外協力隊経験者が青年海外協力協会で行っているプログラムについて語った。
同協会は青年海外協力隊経験者の全国組織で協力隊経験者のフォローの他に、協力隊経験者を伝え手と担い手てする支援を行っている。
まず、協力隊体験者の「伝え手」としての活動は、学校などへの「JICA国際協力出前講座」や「地球生活体験学習」や自治体との協働による教育などを行っている。
また、協力隊体験を活かした「担い手」としての活動は、日本での地域活動に体験を活かす活動をしている。
この中で、増田氏は、学校などに協力隊経験者が外部人材として体験を伝えていく時に、体験談に留まらないとようにコーディネートしているという。
その後のESD 授業デザインワークショップでは、体験の意味について、体験学習と外部講師についてのあり方、海外援助と海外協力などが検討された。