福祉教育・ボランティア学習の新たな価値を探る~ノーマライゼーションの発展に向けて~
11月27日、28日に「日本福祉教育・ボランティア学習学会 第16回 ぐんま大会」が前橋市総合福祉会館で開催された。
テーマは、「福祉教育・ボランティア学習の新たな価値を探る~ノーマライゼーションの発展に向けて~」で、ラウンドセッション、課題別研究、パネル展示、自由研究発表、学会シンポジウムなどが行われた。
27日、開会式のあいさつに続き、ラウンドセッション「福祉教育・ボランティア学習は、ノーマライゼーションに近づいたか~社会的な支援が必要な人々からの発信~」では、群馬県立赤城養護学校教諭の岩崎一芳氏が「障害者」としての福祉教育について、東京大学先端科学技術研究センターの中野聡子氏が当事者主体の障害者支援研究と福祉教育、前橋市社会福祉協議会酒井雅彦氏が当事者とつくり上げた福祉教育・ボランティア学習について語った。
この中で当事者至上主義や逆に健常者の視点からだけ「障害者理解」について論議された。
課題別研究では学校教育、社会福祉協力校事業、メンタルヘルスなどのいろいろな課題が論議された。
その中の課題別研究「福祉教育・ボランティア学習におけるリフレクション・プログラム」では、福祉教育・ボランティア学習における振り返り(リフレクション)の問題が取り上げられた。福祉教育・ボランティア学習では、アクションにつながるような振り返り(リフレクション)がないことが問題であり、日本福祉大学の原田正樹氏はそれを変える「創造的リフレクションの考え方」を提起した。
28日の自由研究発表では、概念・原理・歴史・政策、学校、高等学校、大学中心の展開、地域・施設・社協を中心とした展開、実践プログラム・評価、海外の動向などの研究報告がなされた。
その中の分科会「地域・施設・社協を中心とした展開」ではコミュニティワーカーネット「まきコミュニケーション」の発表がされた。その報告は3つに別れ、「ニーズと人づくり地域づくりの関わりから見る福祉教育的な取り組み(第Ⅰ報)」では総論、「ニーズと人づくり地域づくりの関わりから見る福祉教育的な取り組み(第Ⅱ報)-感性と住民協働で磨く福祉教育的ニーズ-」ではコミュニティワーカーが地域のニーズをどのようにとらえ、事業化かするのかという点について、「ニーズと人づくり地域づくりの関わりから見る福祉教育的な取り組み(第Ⅲ報)-社協実践のプロセスと展開から見る人づくり地域づくり-」では、地域福祉事業がどのように課題解決となるかという点について報告された。
分科会「高等学校を中心とした展開」では、福祉系の高校教育や中等教育における福祉教育のあり方などが検討された。
シンポジウム「共生の創出と福祉教育・ボランティア学習」では、「共生できない現実を見定めながら、どうすれば共生社会が実現できるのか。さらには共生の文化を創出していけるのか」と、福祉教育・ボランティア学習は共生の創出にどう寄与できるかについて論議した。
東京大学の川本隆史氏は共生を倫理や「ケア」概念から述べ、豊中市社会福祉協議会の勝部麗子氏は地域の福祉実践から共生を語り、埼玉大学の河村美穂氏は家庭科における福祉や共生について述べた。