埼玉で「新しい公共支援事業」を考える
埼玉地域ファンド研究会
2月16日、埼玉地域ファンド研究会の第38回「緊急企画!埼玉で「新しい公共支援事業」を考える」がさいまた市の浦和コミュニティセンターで開かれた。
同研究会は、まちづくりや地域福祉などにファンドを生かすことを考える人々で構成する。「都市づくりNPOさいたま」「さいたま地域通貨フォーラム」「市民活動情報センター・ハンズオン!埼玉」のメンバーを中心に、NPO・企業・社協・行政など多様な立場のメンバーと共に多様な切り口でファンドや助成制度やCSR(Corporate Social Responsibility
「企業の社会的責任」)に関する検討を進めている。
先日、「新しい公共支援事業」のガイドラインが決定し、今後の2年間の事業として各都道府県で事業計画・予算案が策定され始めている。
今回、埼玉地域ファンド研究会では「新しい公共支援事業」に関する学習会を埼玉県、NPO、市民などのトークゲストとともに参加者で考える企画を実施した。
まず、コーディネーターの中央共同募金会の阿部陽一郎氏(ハンズオン埼玉理事)が趣旨と「新しい公共」、「新しい公共支援事業」の状況と寄付、助成、ファンドについて語った。
次に、埼玉県NPO活動推進課主査の奥山浩昭氏が「新しい公共支援事業」に関しての県の対応について述べた。
埼玉県では既に新しい公共に向けて協働の具体的事業を行っており、県民から寄付による基金(ファンド)も運用しており、これらと今回の「新しい公共支援事業」をどのように整合性を持たせるか、また、どのようにすすめるかを限られた時間で検討してるという。
また、ハンズオン埼玉常務理事の西川正氏は、NPOファンド・市民ファンドと全国のNPO・NPO支援センターの動きを語った。
西川氏は新しい公共には「公共事業の担い手(民間委託)」と「出番(参画)」の2つの側面があり、「公共事業の担い手(民間委託)」の部分が強調され、官業の安価なアウトソーシングとなっているという。また、基金についても埼玉県の基金は県が主体となっているのは寄付の税制優遇のためであり、2011年度に予定される市民公益税制度では寄付の税制優遇が予定されており、その目的は達したのではないかとも述べた。
そして、埼玉県版NPOバンク設立準備会の相田麻実子氏は市民ファンドやNPOバンクの生まれた経緯や現状を語り、埼玉でもNPOバンクを創設したいと語った。
論議では、「新しい公共支援事業」の問題点として、この事業が既存の補助金のような古い公共の仕組みで展開されており、新しい公共を担う制度としてはどうか、基礎自治体が市民の提案をうけて申請しないと始まらないなどの意見が出された。
西川氏は、この点を「新しい公共支援事業」では「公共事業の担い手(民間委託)」をつくるだけではなく、みんなの「出番(参画)」をつくり、みんなで決めていく(マルチステークホルダー)ことが重要ではないかと述べた。
最後に、阿部氏は「新しい公共支援事業」のあり方も、寄付(共同募金も含めて)のあり方や市民ファンドやNPOバンクのあり方も、ニーズとともに総合的にみんなで調べて決めて仕組みづくりを行えれば、と提言した。