「新しい公共と市民自治」研究会
指定管理者から仕事おこし・地域づくりへ
組合員の仕事おこしコーディネーターへの学びへ
5月15日、「新しい公共と市民自治」研究会「指定管理者から仕事おこし・地域づくりへ-組合員の仕事おこしコーディネーターへの学びへ」(主催 協同総合研究所)が東京池袋で行われた。
今回の内容は「2008年度より、センター事業団と東京農工大学農学部環境教育学研究室が、指定管理者制度におけるワーカーズコープの意義・協同労働のあり方 をテーマに、共同研究「地域連携型コミュニティ支援のあり方—多摩地区をモデルに」を開始した。(中略)
本研究会において、共同研究のまとめと報告を行い、あらためて指定管理者制度の課題を現場の視点から問い、「新しい公共」を担う協同労働の協同組合の可能性を明らかにしていきたい。」
まず、「指定管理の業務の意味について」としてワーカーズコープ東京本部の藤田事業本部長は、指定管理制度による公共の市場化を危惧して、協同組合では市民が担う公共として指定管理を行ってきた。その意味をこの研究で追求して、今後に生かしたいと述べた。
「共同研究の趣旨」として須賀貴子氏(東京農工大学大学院博士課程、ワーカーズコープ埼玉就労支援事業所)は背景として「公共の市場化」と雇用労働の悪化があり、これに対処していくために、ニーズの把握、事業化の方法などを検討するために東久留米と福生の事業を対象にして当事者参加型のアクションリサーチで行ったと述べた。
「福生児童館報告」として幡野雄大氏(ワーカーズコープFUSSA事業所)では、児童館の職員組合員が初年度はこどもの状況とニーズを様子を把握するWSからこどたちを主人公になる方法を考えるWSや財政分析を行った。2年目は市民と職員がともに検討するとともに、市の後期次世代育成計画の学習と提案を行った。また、「仕事おこし」プロジェクトを開始し、市民からのニーズから発した障害児デイサービスの事業化を検討し、3年目は、試験的に障害児デイサービスのイベントを行い、当事者の父兄と計画づくりを行った。
「東久留米報告」として下村朋史氏(東久留米地域センター事業所長)は地域センターの職員組合員が初年度は地域を把握するWSから財政分析を行った。2年目はセンター休業にともないヘルパー2級の講座を実施するとともに高齢化などの状況の学習を行った。3年目は、指定管理者更新の作業とともにいいまでの総括や新しいプランづくりを行い、今年度は地域のコミュニティワークを担う地域センターを目指している。
東京農工大学の「共同研究報告」として須賀貴子氏(東京農工大学大学院博士課程)、楠野晋一氏(協同総合研究所、東京農工大学農学博士)が共同研究「地域連携型コミュニティ支援のあり方—多摩地区をモデルに」を説明した。
研究目的は、①地域のニーズを明らかにし、②それら基に事業化し、③施設における事業の可能性と限界の検証すること、さらには④組合員の専門性の獲得と地域住民との協同のあり方を明らかにするであった。
その結果、指定管理を単なる行政アウトソーシングを超えて市民が担う公共目指すためにはも市民ともにコミュニティワークを推進するなどの方向が見えてきた、という。
その後の質疑応答では、各現場で活躍している職員組合員の実感のある発言をもとに論議が行われた。
最後に、朝岡幸彦氏(東京農工大学大学院教授、協同総研理事)は研究を総括し、共同研究によって現場の職員組合員の「よい仕事にこだわる」仕事を調査研究として行った結果を評価し、次の段階として職員組合員が自ら調査研究するフェーズになったと述べた。