毎日新聞が2、3両日に行った全国世論調査では、定期検査のため停止している原発の運転再開に「反対」との回答が51%と半数を超え、「賛成」の37%を上回った。今夏以降の電力不足への懸念から、政府は「安全宣言」を出し、手始めに九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を地元自治体に要請。しかし、東京電力福島第1原発事故の長期化に伴い、原発再稼働に対する世論の慎重論が高まっている。【松尾良】
原発の運転再開に関する賛否を男女別でみると、男性のうち、賛成と答えた人は51%を占め、反対(41%)を上回った。一方、女性で反対と答えた人は58%に達しており、賛成(27%)と大きく差が開いた。
風力や太陽光などの自然エネルギーの利用増に伴う「電気料金の値上がりを容認できるか」との質問には、「容認できる」が60%に上り、「できない」は31%にとどまった。運転停止中の原発の再開に「賛成」と答えた人の中でも、値上がり容認派が68%を占めた。
菅直人首相は退陣の「3条件」の一つに、自然エネルギーの普及に向けた再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の成立を掲げている。経済界には電力料金値上げによるコスト増に懸念もあるが、今回の調査結果からは当面の原発再稼働への賛否にかかわらず、将来の脱原発と自然エネルギーへの転換が必要との意識がうかがえる。
ただ、原発運転再開に反対する人のうち、菅内閣を「支持する」のは18%どまり。自然エネルギー利用増による電気料金の値上がり容認派でも、内閣支持率は22%にすぎず、世論の「脱原発」志向は菅首相への支持に直結していない。
電力の約3割を原発に依存してきた日本のエネルギー政策を巡っては、4、5両月と同じ設問で調査した。「原発は減らすべきだ」は5月調査に比べ2ポイント減の45%。「原発は全て廃止すべきだ」は同5ポイント増の17%で、合わせて約6割が「脱原発」を志向している。原発依存が「やむを得ない」との回答は、同1ポイント減の30%だった。
一方、被災地復興の財源確保のための増税に関しては、「賛成」が5月調査から5ポイント増の53%。反対は同3ポイント減の38%だった。政府・民主党は所得税と法人税を一定期間引き上げ、復興財源として発行する復興債の償還に充てる方針を固めている。
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◆菅内閣を支持しますか。
全体 前回 男性 女性
支持する 19(24) 19 20
支持しない 56(57) 63 52
関心がない 24(19) 18 27
支持する理由は何ですか。
民主党の首相だから 29(35) 28 30
指導力に期待できる 4 (5) 5 4
政策に期待できる 13 (8) 10 14
政治のあり方が変わりそうだから 50(40) 53 48
民主党の首相だから 4 (5) 5 3
指導力に期待できない 44(53) 43 46
政策に期待できない 22(17) 23 21
政治のあり方が変わりそうにない 29(22) 28 30
◆どの政党を支持していますか。
民主党 13(15) 15 12
自民党 16(17) 18 15
公明党 3 (3) 3 4
みんなの党 5 (6) 6 4
共産党 2 (2) 2 2
社民党 0 (1) 1 0
国民新党 0 (0) 1 0
たちあがれ日本 1 (0) 1 1
新党改革 0 (0) 0 -
新党日本 - (0) - -
その他の政党 1 (1) 1 1
支持政党はない 54(53) 52 56
◆菅首相は退陣する時期について明言を避けています。このことをどう思いますか。
明確にすべきだ 62 65 60
明確にする必要はない 30 31 29
◆菅首相は、いつまでに退陣すべきだと思いますか。
できるだけ早くやめるべきだ 44 52 39
8月中にやめるべきだ 27 25 29
できるだけ長く続けてほしい 18 17 19
◆菅首相は自民党の浜田和幸参院議員を総務政務官に任命しました。自民党の議員を引き抜いた首相の手法を適切だと思いますか。
適切だ 31 31 31
適切でない 55 62 50
◆震災前、日本の電力の約3割が原子力発電によって賄われていました。原子力発電に頼っている日本のエネルギー政策をどう思いますか。
やむを得ない 30 39 23
原発は減らすべきだ 45 41 48
原発は全て廃止すべきだ 17 14 19
◆日本の原子力発電所のうち、定期検査で運転を停止している原発の運転を再開することに賛成ですか。
賛成 37 51 27
反対 51 41 58
◆風力や太陽光など自然エネルギーの利用を増やすことで、電気料金が値上がりすることを容認できますか。
できる 60 60 61
できない 31 35 28
◆震災被災地復興の財源確保のため増税することに賛成ですか。
賛成 53 57 50
反対 38 38 38
(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、-は回答なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回6月4、5日の調査結果。
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2、3日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号を使うRDS法で調査した。この際、岩手、宮城、福島3県の沿岸部など、東日本大震災による被害が大きかった市区町村の電話番号は除いた。有権者のいる1544世帯から、1129人の回答を得た。回答率は73%。