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スローレポート 『S−Report』 (8/18号)
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◆◆◆ オルタナティブな教育と開発教育 ◆◆◆
8月6日、7日、第29回開発教育全国研究集会「オルタナティブな教育と開発教育」が東京のJICA地球ひろばで行われた。
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「開発教育は、過去30年、「共に生きる公正な地球社会の実現」に向け、さまざまな観点から教育のあり様を提案してきました。東日本大震災の甚大な被害や原発事故、さらには世界各地の貧困や格差、紛争、環境問題などを受けて、開発教育は今後どのような社会、どのような教育をつくり出していくことが求められているのでしょうか。
本研究集会では、「オルタナティブな教育と開発教育」を全体テーマに、全国各地の実践や研究を共有し議論を深めます。 第1部「実践フォーラム」では「広げる」ことを目的に、開発教育の理念や手法、実践から学ぶ機会を提供します。 第2部「研究フォーラム」においては「深める」ことを目的に、実践研究を共有し、4つの分科会を通して、各テーマに関する議論を深め、 開発教育の役割や課題について話し合います。」
8月6日(土) 実践フォーラム
朝から、6つのワークショップ体験が行われ、その後、開会式・全体会「お互いを知ろう・DEARを知ろう」が行われた。
ここでは、9.11から3.11までの世界情勢を踏まえて参加者がお互いを知りあい、オルタナティブ教育としての開発教育の役割などを検討した。
そして、自主ラウンドテーブルでは、震災に関連したものから海外のことまで、「言葉がわからない体験ゲーム 何が起こった?」(震災編)、子育てをする日々と開発教育~放射能汚染を受け、命の責任を担う一人の親として、どうする?どうしてる?~、「援助」を始めたら「評価」をしよう!?参加型評価体験ワークショップ、「おいしいチョコレートの真実」学校とNGOの連携事例報告、学校ってなんだろう?~学校の意義と地域に根差した学校建設~、ビデオを使って授業をつくる、小学生と一緒に「マジカルバナナ」、子どもたちの声を政策に~国際協力NGOの試みから~ 、若者のためのESD~「私」から広がる世界、国際協力に向き合う私たち~エチオピアの地域問題を切り口に~、先生に響け!子どもたちに届く!開発教育!~授業組み立てのヒント~、貿易を通じた「フェア」な関係のプログラムが行われた。
その内、「東日本大震災以降の教育・ESD・開発教育」(ESD学校教育研究会)では震災を受けて教育について検討した。 「東日本大震災以降の社会では、今までの持続不可能な社会のあり方が問われるこ とになり、この事態に対して様々な立場の人々や教育が多様な活動をしています。このセッションでは総会の「開発教育の役割と課題~東日本大震災を受けて」を受けて、教育、ESD、開発教育、まちづくり教育、各教育はこの事態にどう立ち向かうのか、そして、今後の社会を教育としてどうするのかを参加者と論議したいと思います。」(趣旨) まず、「開発教育・国際理解教育について」では、D-net、あんじょう屋本舗の松田剛史氏(ESD学校教育研究会)は、開発教育・国際理解教育について語り、今後のあり方を述べた。 次に、「ESDとまちづくり学習ー After 3.11」では。宇都宮大学修士課程渡邊真弓氏、宇都宮大学教授陣内雄次氏(ESD学校教育研究会)は、今までの行って来たまちづくり学習の実例を述べ、成長社会から転換した縮退社会におけるまちづくり学習とAfter 3.11におけるまちづくり学習の意義を述べた。 そして、「東日本大震災以降の社会のためのESD」では、ESD学校教育研究会の長岡素彦が震災における情報や検証の重要性や新たな社会構想におけるESDの役割を語った。
その後のワークショップでは参加者が東日本大震災以降の教育・ESD・開発教育のあり方を論議した。
8月7日(日) 研究フォーラム
まず、実践・研究報告として、関東大震災の震災作文の学びから『知る→行動する』を問う、「世界中の子どもに教育を」キャンペーン2011~女の子と女性の教育~、微生物とわたしたちのくらし、つながろう 広げよう ESDの輪~教育委員会との連携による普及戦略などが行われた。 この中で、実践・研究報告「東日本大震災以降の社会のためのESD~「情報力」「調査力」「社会構想力」を長岡素彦(ESD学校教育研究会、ESD学校教育研究会・iSPP情報支援プロボノ・プラットフォーム)が行った。
「総会の「開発教育の役割と課題~東日本大震災を受けて」を受けて、これから必要とされる学習と実践について今までのESDの研究・実践内容を提 示し、参加者と検討したいと思います。東日本大震災では、ネットを主とした情報環境が力を発揮し、発表や報道をどのように読み解くかが重要であり、メディアリテラシーやICTリテラ シーを含めた「情報力」が重要となってきます。また、自然、災害、原発など被害の正確な知識やそれを検証する「調査力」が重要となってきます。そして、何よりも、今回の震災で今後の社会をどのようにしていくがをみんなで考えるための学習と 行動のための「社会構想力」が重要となってきます。ここでは、今まで持続可能な社会構築のためにESDとして養いたい力として、東日本大震災以降の社会でますます必要となる「情報力」、「調査力」、「社会構想力」に絞って論議したいと思います。」(趣旨)
まず、震災や原発災害を持続可能な開発から考えて、福島とその恩恵に預かっている関東の世代内公正や今、放射能によって被害を被る未来世代のこどもたちと大人との世代間公正を基本としてどのようなことが考えられるのか、また、教育はどのような役割を果たせるのかなどを述べた。
次に、震災における情報や検証の重要性や新たな社会構想におけるESDの役割を語った。
特に、震災以降にジャスミン革命の様なソーシャルパーシフトが日本でもおこっており、どのように「情報力」、「調査力」、「社会構想力」を育み、それをどのように学習と教育にして、世界を変えて行くのかなどを述べた。
その後、ワークショップでは参加者が、自分の地域や自治会などでどうしたらいいのか、東日本大震災以降の社会のためのESDや「情報力」「調査力」「社会構想力」を論議した。
次のシンポジウム「オルタナティブな教育と開発教育」ではシンポジスト里見実氏(教育学者)と谷口康代氏(静岡市立長田北小学校教員)を迎えて論議を行った。
「開発教育は、過去30年近く、「公正で共生が可能な地球社会づくり」「オルタナティブな開発」に向け、教育内容、教育方法、教材、教師・指導者、ネットワークなど、さまざまな観点から、教育のあり様を、実践的理論的に提案してきました。ではこの開発教育は、オルタナティブな教育という観点からは、どのような捉え直しが可能なのでしょうか。また持続可能性、エネルギーなど新たな社会的課題が顕在化する中で、開発教育は、今後どのようなオルタナティブな教育をつくり出して行くことが求められているのでしょうか。あらためて登壇者と参加者で考えたいと思います。」
まず、司会の山西優二氏は(早稲田大学)、ここではオルタナティブな教育とは、既存の教育に革新性ををもった代替的な教育であると述べた。 谷口氏は小学校での状況と教育実践からオルタナティブな教育を述べた。中山間地の小さな学校から年の学校までを経験した同氏は、こどもたちがおかれている孤立や家庭環境を述べ、その中で状況にあった教育を時察せんして来たという。
たとえば、総合的な学習にしても、そのテーマはこどもたちの現状にとってどうなのか、また、どのような変わってもらいたいかを考えて実践している。
里見氏は、教育のオルタナティブを考える事は、文化を立て直すことであると語った。そのためには、対話が重要で、それは「遊び」からも生まれる。この遊びを再活性化しつつ、対話を本格的に深めて行くために授業が必要であるという。
また、現在の教育は近代の相対化を行っていない教育なので、近代を相対化し、近代の果ての今の社会を問い直す別の教育、オルタナティブな教育が必要とされる。
この後、ワークショップでは参加者がオルタナティブな教育を論議し、バネリストと質疑応答した。
その後の課題別分科会「多文化社会における開発教育とはPart2~一人ひとりの内面に向き合う」、「9.11から10年~平和を築くための教育を考える」、「エネルギー問題と開発教育」などが行われた。 この中で、第1分科会「オルタナティブな教育と開発教育」ではシンポジウムでの議論をより具体的に掘り下げ、学校教育現場におけるオルタナティブを考えた。 コーディネーターの石川一喜(拓殖大学)氏は、ワークショップでグループに分かれた参加者に「学校にあるもの(欠かせないもの)」を論議してもらい、それをもとに、参加者は学校教育現場におけるオルタナティブを考えた。 その後、谷口康代氏(静岡市立長田北小学校教員)は、学校にはその学校の積み重ねや枠があり、その中で、組み替えたり、新しくしていくことを今やっているという。
また、保護者も悩んで苦しんでいる側面があり、それを理解してどう変えて行くのかが重要で、こどもたちや父兄や学校でつながりをつくることで、自分も変わる事が出来た。 本山明氏(葛飾区立本田中学校教員)は、教育と学校の現状からこどもで教員同士、保護者とつながることや学校の自分から役割からオルタナティブな教育としての学校について述べた。 9.11も今回の震災もこどもたちが感じて、考えはじめていることを学習にする事が重要だと考えても実践して来たという。 この後、参加者がオルタナティブな教育を論議し、バネリストと質疑応答した。
「オルタナティブな教育」というと、今の教育とまったく違う「別の教育」の論議が多いが、今回は、震災や社会、学校の現実の中から、多くの実践とともにオルタナティブな教育を検討する事が出来た。
震災復興や新しい社会の構想も、一挙にったく違う「別のもの」はつくれない。 地域や学校から既存の教育から革新性ををもった代替的な教育を考える事が震災復興や新しい社会への向かう道のひとつではないか。
◆◆◆ ご案内 ◆◆◆
<市民メディア全国交流集会番外編イン仙台
「被災地・被災者からの発信−市民メディアは立ち上がる」(仮)>
期日:2011年9月24日(土)
会場:せんだいメディアテーク1Fオープンスクエア
市民メディア全国交流集会番外編イン仙台
WEBhttp://www.citizenmedia-sendai.com/
内容:今回の災害で様々な活動を展開した市民メディアの人々の報告、パネルディスカッションなど
2011年9月、仙台で市民メディア全国交流集会<番外編>を開催いたします。
こちら仙台です。
今年の9月、第9回市民メディア全国交流集会を開催する予定でしたが、東日本を襲った二度にわたる大地震のため、集会自体は返上させていただきました。しかし、被災地にあって、被災者として、市民メディアレベルで何かできることがあるはずだ、また何かを伝えたいと願い、「番外編」を開催することにいたしました。
仙台、宮城、さらには他の被災地にあって、地震発生直後から市民やNPO、さらには有志のグループなどが被災地から災害情報発信などの活動に積極的に取り組みました。被災地といっても、それぞれ被災状況は異なり、被災者もまた一様に扱うことはできません。必要な情報は、それぞれ違ったものであるに違いありません。いくつかの被災地では、すぐにも災害臨時FM局が開設され、その地域の住民にとって必要な災害情報をきめ細かく流しました。被災にあった人には、健常な人ばかりでなく、思うように体を動かせない老人、幼い子どもを抱えた母親、病人、障害を抱えた人など、さまざまです。それぞれ求める情報は違うはずであり、送る情報はそれにかなったものでなければなりません。
「市民メディア全国交流集会<番外編>」はそこに焦点を合わせます。市民やNPOなどが被災地・被災者のために、コミュニティFMやインターネットやSNSなどを積極的に活用し、必要な情報を必要な人にきめ細かく災害情報を流し続けた意義深い事例をいくつか拾い、展示、フォーラムなどを通して参加者との交流を図りたいと思います。市民が市民のために必要なときに必要な情報を送る。それこそ、市民メディアの最大の存在理由であり、市民メディア全国交流集会の意義と合致するものと思います。現時点では、午前にはフロアーにいくつかブースを設け、取り組みの数々を紹介・報告してもらい、参加者との交流を図る、午後のフォーラムでは、臨時災害FM局の開設者、耳の不自由な人にツィッター等を活用し文字情報を流し続けた人、インターネットを活用し支援物資や応援メールを送り孤立化した村に勇気を与え続けた人などにパネリストとして登壇、報告していただく予定です。
期日は、9月24日(土)、会場は、せんだいメディアテーク1Fオープンスクエアです。詳細は、近く専用WEBサイトを開設し、そこでお知らせしていきます。以前ほどではありませんが、相変わらす余震が続く仙台、東日本ではありますが、被災地・被災者を力づける、勇気づける意味でも、今年の9月には全国から多くの市民メディア、オルタナティブメディアに取り組んでいる人やそのファンの方々にいらしていただき、そして交流を深めることができることを切に願います。
「市民メディア全国交流集会<番外編>イン仙台」
実行委員会代表 関本英太郎2011.6.23
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