130人中、10人の甲状腺機能に変化
福島第一原発事故を受け、福島県から長野県茅野市に短期避難していた子どもたちを検査したところ、甲状腺機能の異常が見つかった。
認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金と信州大学が、茅野市に滞在していた福島の子どもたちのうち、検査を希望する130人に対して医師による問診や血液検査、尿検査を行った。その結果、10人(7.7%)に甲状腺機能の変化が見られたという。
放射性ヨウ素を被ばく
甲状腺は成長に関わるホルモンを分泌する。今回検査を受けた子どものうち、1人は甲状腺ホルモンが基準値を下回り、7人は甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。
Eメール プリントテキストサイズ: 共有するランク付け: +1 原発事故直後、福島第一原発からは大量の放射性ヨウ素が放出され、風に乗ってかなりの遠隔地にまで飛散した。汚染を予想する演算システム「SPEEDI」はこの情報を早期に把握していたが、住民には伝えられなかったため、多くの子どもたちが被ばくした。
心配される甲状腺がん
放射性ヨウ素は体内に取り込まれると、甲状腺に集まる性質がある。特に子どもはこの機能が活発なため、甲状腺がんを発症するリスクが大人よりはるかに高い。
チェルノブイリ原発事故では、事故後数年を経て、子どもの甲状腺がんが急増した。被ばくしたベラルーシでは、事故前の1975年-1985年と事故後の1986年-1996年を比較すると、15歳以上では甲状腺がんの数が約3倍に増加している。これに対し、15歳未満の子どもでは、73倍という激増が記録された。
日本チェルノブイリ連帯基金では、福島の子どもたちについても経過観察が必要とし、今後も検査が受けられるようにする、と語った。