東日本大震災:津波襲った南三陸・伊里前小の6年生、「絆」テーマに映画作り /山形
◇庄内で撮影、編集も 山形の映画祭で発表 ◇震災支援感謝込め、修学旅行の一環で
東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の町立伊里前(いさとまえ)小(兵藤文隆校長)の6年生23人が29日、修学旅行で庄内を訪れ、鶴岡市羽黒町の庄内映画村オープンセットで「絆」をテーマにした短編映画製作に取り掛かった。児童らは10月8~10日に再度映画村を訪れ、撮影や編集まで自分たちで行って完成させる。作品は10月6~13日に山形市で開催される「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で発表されるほか、鶴岡市山王町の映画館「鶴岡まちなかキネマ」でも上映される。
修学旅行は30日までの1泊2日。製作するのは5~10分の作品。映画村を訪れた児童たちはドラマとドキュメンタリーを担当する2班ずつ計4班に分かれ、江戸時代の宿場町を再現したオープンセット内を歩いて下見した。現代人が縄文時代にタイムスリップしたドラマを作ろうとしている小野健太郎さん(12)は「わくわくして楽しみ」と目を輝かせた。指導に当たっている鶴岡市出身の映画監督、冨樫森さんは「自分たちの力でゼロから生み出すことで、映画作りの面白さを味わってもらえたら」と期待している。
映画製作は同校が震災で支援を受けた友好町の庄内町にお礼をする目的で訪れた修学旅行の一環。兵藤校長は「半数以上の児童が津波で家を流されて今も仮設住宅で生活しているなど、悲しい思いをした子供たちばかり。映画作りの体験を通してより一層の絆を深めてほしい」と話している。
【長南里香】