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スローレポート 『S−Report』 (1/26号)
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◆◆◆ 誰のための政府、誰のためのシステム ◆◆◆
1月16日の東京電力福島第一原子力発電所の「事故調査委員会」で参考人の文科省の担当者が放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI」の予測データを事故の直後に、米軍に提供していたことを証言し、このことが「公式」に明らかになった。
国民の税金で原子力事故のためにつくり、運営している「放射性物質の拡散状況を予測するシステム」のSPEEDIを運用する原子力安全委員会が、3月14日には把握していた放射能拡散の試算結果を公表したのは3月23日で、この公表の遅れによって福島の住民避難に生かせず、無用な被ばくを招いた。
しかし、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供し、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていたことが判明した。
事実、米大使館は3月12日には大使館が避難開始、17日には在留米国民への放射能漏れ事故が起きた福島第1原発の半径80キロ圏内から避難勧告した。
このことについて、政府はアメリカに震災支援を求めるためと弁明している。
発災時から横田基地にある米軍のGHQ(在日米軍司令部)は放射能の探査装置をもった航空機(核実験・核攻撃対応)を飛ばしすなどして調査し、米原子力規制委員会(NRC)による検討、分析結果を把握していた。
その時の日本政府といえば・・・
◆朝日新聞の連載記事「プロメテウスの罠」では(転載)
「震災から4日目、昨年3月14日朝のことだ。
外務省北米局米安全保障条約課の外務事務官、木戸大介ロベルト(33)のところに横田基地の在日米軍司令部から電話が入った。
「原発事故の支援に際して放射能関連の情報が必要だ。政府が情報を有しているなら提供してほしい」
当時、外務省は昼夜12時間の2交代で動いていた。木戸は朝9時に登庁し、仕事を始めたばかり。上司の許可を得て、経済産業省など思い当たる省庁に電話した。電話はあちこち回された末、文部科学省の防災環境対策室に行き着いた。
室長補佐の澄川雄(33)は「防災関係者で活用する分には提供して構わない」と答えた。
木戸は担当者に「データを直接米軍に提供してほしい」と伝えたが、「震災後のどたばたで手が足りません」。木戸は「それなら私の方でリレーしましょう」と答えた。
午前10時40分、木戸のパソコンに原子力安全技術センターからメールが届く。文科省の委託を受け、放射性物質の拡散を予測する機関だ。木戸は添付されたファイル名「SPEEDI]の文字を見つけた。
SPEEDI? 木戸はメールを在日米軍司令部に転送した。」
「3月14日の時点でSPEEDIを知る政治家はほとんどいなかった。
首相の官直人(65)や官房長官の枝野幸男(47)ですら認識していなかった。SPEEDI情報を官邸中枢に伝えるべき官僚が、それをしなかったのだ。
官邸中枢が存在すら知らないSPEEDIのデータが、米軍にはいち早く渡っていた。昨年12月、その事実を伝えると、菅の声のトーンが上がった。
「全然知らなかった。一番伝えなきゃいけないところに、なぜ伝えなかったんだ」
1時間ごとのSPEEDIのデータは木戸のパソコンへ届いた。地図データだったため、情報量は多かった。パソコンに入るデータ量はメールの送受信に支障が出るほど膨らんだ。
木戸は自動転送と,転送後の自動削除にパソコンを設定した。データは7月まで順調に米軍に流れた。」
そして、1月18日、内閣府原子力安全委員会は原発事故で住民の避難判断をする際、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」は信頼性が低いため使わず、実測した放射線量などをもとに判断するという見直し案をまとめた。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120118-OYT1T00416.htm
これは、政府が国民の税金で原子力事故のためにつくり、運営しているSPEEDIは一番大事な避難に役に立たないことを認めたことになる。
◆SPEEDI 国民は守られなかった
SPEEDIの予測データが国内での公表より九日早く、米国に伝えられていた。原発の寿命を延ばしたり縮めたり。拙速に再稼働を認めたり。国民を守る気概が日本政府には欠けていないか。
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、原発などに緊急事態があった時、風向きや地形、放射性物質の発生量などから拡散状況を予測する。
運営は原子力安全技術センター。文部科学省の外郭団体だ。緊急時には経済産業省や原子力安全委員会などへ、速やかに情報が伝わる仕組みである。
被災者の安全を大きく左右するその重要情報が、国民にはすぐ知らされず、問題視されてきた。ところが、米軍にはいち早く提供されていたというから、国民は落胆した。怒った。いったい誰のための政府なのかと。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告書によると、経産省原子力安全・保安院は「信頼性が低い」との注釈付きで震災発生翌日にSPEEDIのデータを官邸に上げたという。そのため官邸職員もそれを軽視して、当時の首相に伝えなかった。これが、そもそもの間違いだ。
福島第一原発事故では、放射性物質の放出量が把握できなかったため、本来の能力は発揮できなかったろう。しかし、シミュレーション、かなり正確な想定は可能である。後に公表のデータを見れば、現実に線量が高い地域と重なっているではないか。
福島第一原発に近い福島県浪江町請戸地区の被災者は、すぐに高台へ避難した。しばらくしてから、そこが線量の高い地域であることがわかった。「知っていたら行かなかった」と悔しがる。
必要な情報を速やかに可能な限り収集、分析し、国民の生命財産を守るのが官邸ではないか。
米国・米軍は、判断材料としてのデータを貪欲に集めていたのだろう。当事国の政府が軽視した情報さえも。これは放射能に対する恐れ方の違い、自国民の安全に対する意欲の違いである。
驚くべきことに、福島第一原発のデータを政府の監視システムに送り込む装置の非常用電源が、事故の四カ月前から取り外されたままになっていた。そのデータはSPEEDIに伝わっていなかった。問題はシステムではなく、それを運用する人にある。あなた方は何を守るべきなのか。あらためて政府に問いかけたい。
中日・東京 社説
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012012102000003.html
◆拡散予測、米軍に提供 事故直後に文科省
東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月14日、放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供していたことが16日、分かった。
SPEEDIを運用する原子力安全委員会が拡散の試算結果を公表したのは3月23日。公表の遅れによって住民避難に生かせず、無用な被ばくを招いたと批判されているが、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていた。
時事
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002390.html
(参考)
小出裕章が語る、SPEEDI関連報道
ーー3月14日に米軍に伝達・ 今後避難判断に使わない案 1/18(1) のテレビ朝日
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65786158.html
小出裕章先生 甲府講演(1月8日)】 抜粋、書き起こし
http://www.youtube.com/watch?v=7MbcteuNf6c ←講演会動画
●原発は効率の悪い蒸気機関
「そもそも原発は、たいへん効率の悪い蒸気機関です。今日標準になっているものは電気出力100万キロワットの原子力発電所だが、それは電気になっている分が 100万キロワットあるという意味。しかし原子炉のなかでは300万キロワット分の熱が出ています。そのうち使えるのは100万キロワットだけなのであっ
て、残りの200万キロワットは使うことができず海に捨てている。海を温めるということをやっているのです。1秒間に70トンの海水を引き込んできて、そ の海水の温度を7度も上げている。そういうことをやらなければ原子力発電所というのは動くことのできない機械。“海温め装置” とでも呼ばなければならないものなのです。海の生物は大きな被害をうけている...」
http://www.scoop.it/t/tikyu-tunagari/p/997118540/-
参考 小出京大助教 「今現在、戦争が続いている」テレビ朝日
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=PwlUwMe3BxU
◆◆◆ ご案内 ◆◆◆
プルミエール
お産から社会を考える
いろいろとこどもを産みにくい社会ですが、今のお産は、制度や文化の問題、産科医院の不足もあって効率的に出産させることも多くなっています。
自然な出産や育児を望んでいてもなかなかむずかしい。
この現状とともに、伝統的な出産や世界での出産の状況、そして、これからぱぱとままになる前の世代の意見を聞いて考えます。
日時 2月7日(火)13時~16時
場所 大阪経済法科大学東京麻布台セミナーハウス 4階 小会議室
http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/access.html
(最寄駅は、日比谷線神谷町です。)
無料のイベントです、当日会場にお越し下さい
スピーチ
タイの少数民族のお産 林佐紀さん(学生)
日本のお産の現状 高橋孝予さん(助産師)
乳幼児に育児(母乳、おむつ無し) 野口扶美子さん
西出博美さん、高瀬唯さん
コメンテータ上村英明( 恵泉女学園大学教授、NGO市民外交センター代表 )
「プルミエール ~私たちの出産~」 [DVD]の紹介
参加者でディスカション
司会進行・ファシリ 長岡素彦(持続可能な開発ための教育の10年さいたま代表)
連絡先
事務局 ソーシャルプロデュースネット
メール spn@office.email.ne.jp
ファクス 049-233-0402
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