南海トラフ巨大地震 規模M9、震源域2倍に 内閣府が想定引き上げ
東海・東南海・南海地震が起きる南海トラフ(浅い海溝)沿いの巨大地震の想定見直しを進めてきた内閣府の検討会は27日、3つの地震が連動した場合の想定震源域を従来の約2倍に拡大し、地震の規模を東日本大震災と同じマグニチュード(M)9.0に引き上げる中間報告をまとめた。大きな津波が起きる津波地震との連動も新たに想定。津波の高さや揺れの範囲が拡大するのは確実で、沿岸自治体などの防災対策に大きな影響を与えそうだ。
産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111227/dst11122714350009-n1.htm
国の中央防災会議が平成15年に公表した東海・東南海・南海地震の3連動の従来想定はM8.7。これと比べてM9.0はエネルギーの大きさに換算すると約3倍に相当する。
従来の想定は、過去数百年に起きた地震の被害記録を再現できるように作成されてきた。しかし、大震災で過去数百年の歴史記録になかった連動型の巨大地震が起きたことを踏まえ、科学的な知見に基づく最大級の地震を新たに想定した。具体的な津波の高さや震度分布などは来年3~4月の最終報告で公表する。
新たな想定では、強い揺れをもたらす範囲の想定震源域を3方向に拡大。南西側は従来、宮崎県北部沖の日向灘の手前までだったが、大震災で「想定外」だった福島県沖の断層が破壊されたことなどを受けて、宮崎県南部沿岸まで延長。
また内陸側は、従来はフィリピン海プレート(岩板)と陸側プレートの境界が固着している深さ30キロまでの範囲だったが、これよりやや深い場所で固着を示す低周波地震が観測されたことを考慮し北西に拡大。愛媛、香川、奈良、長野各県が震源域に含まれた。
一方、津波は想定の考え方を抜本的に変更。揺れは小さいが、高い津波をもたらす津波地震が大震災で発生したことを受け、津波地震が起きる南海トラフ沿いの深さ10キロより浅いプレート境界についても、津波の想定波源域に追加した。
検討会は古文書や津波堆積物などの調査結果から、南海トラフの過去の地震も検証。約2千年前に起きた津波は、これまで最大級とされた江戸時代の宝永地震(1707年)の津波より大きかった可能性があるとした。また、ある程度大きな津波を伴う地震は300~500年間隔で起きていると評価した。