第46回 埼玉地域ファンド研究会
埼玉らしい寄付のあり方を考える!
~神奈川県の「個別指定NPO」条件づくりを参考に~
2月15日、埼玉地域ファンド研究会の第46回「埼玉らしい寄付のあり方を考える! ~神奈川県の「個別指定NPO」条件づくりを参考に~ 」がさいまた市の浦和コミュニティセンターで開かれた。
同研究会は、まちづくりや地域福祉などにファンドを生かすことを考える人々で構成する。「都市づくりNPOさいたま」「さいたま地域通貨フォーラム」「市民活動情報センター・ハンズオン!埼玉」のメンバーを中心に、NPO・企業・社協・行政など多様な立場のメンバーと共に多様な切り口でファンドや助成制度やCSR(Corporate Social Responsibility
「企業の社会的責任」)に関する検討を進めている。
2011年6月のNPO寄付税制改正を受けて、今年4月からのNPO法人会計基準も新しくなり、税制優遇を受ける認定NPO法人の基準も変わる。
今回、埼玉地域ファンド研究会は、昨年行った第41回「ココが変わった!新寄付税制&NPO法改正」から更にすすめて 、神奈川県の「個別指定NPO」条件づくりについて聞いてともに参加者で考える企画ある。
神奈川県県民局県民活動部NPO協働推進課の井出博晶氏が「神奈川県における個別指定NPO制度の構築」について述べた。
神奈川県では「全国に先駆けて、地方税法第37条の2第1項第4号の規定により控除対象となる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を指定するための基準、手続等を定める条例を制定し、平成24年2月に施行しました。これにより、認定NPO法人に限らず、その他のNPO法人への寄附金についても、県が条例で個別に指定することにより、個人住民税(都道府県民税)の4%が税額控除の対象となります。」(神奈川県)
これは、NPO寄付税制改正の際に都道府県が個別の条例を設ければ認定NPO法人と税の取り扱いにおいて同様にすることができるということを適用したものだが、他県との違いは政府の改正以前から神奈川県では、市民・NPOや政令市、市町村とともに検討を行っていたところだ。
すでに、平成20年から検討を始め、政府にも提言を行い、いち早く検討委員会を設立した。昨年、県民NPOとの意見交換、県庁内の各クラス、市町村幹部、税務担当、そして、首長と意見交換と合意形成をはかり、法改正後には条例を県議会で可決し、今年4月から実施するという。
しかし、円滑に制度が立ち上げられたことだけが優れているのではない。県はその要件を公益要件「地域課題の解決に資する活動の実績とその継続性」と 運営要件「運営面の適正性」として、指定するNPO法人を県ではなく第三者機関の審査に委る。
運営要件は当然だが、公益要件の中心に「地域課題の解決に資する活動の実績とその継続性」を掲げ、NPO法人が自らミッションばかりでなく、地域課題の解決を行う事に価値をおいた基準を定めた。
また、寄付の金額や寄付者の数などの数値の基準ばかりでなく、署名や活動の内容なども基準として採用している。
その後、活発な質疑の後にグループに別れ、内容や埼玉らしい寄付、市民参加のあり方を論議し、埼玉への全員の一言提案を作成した。
神奈川の個別指定NPO制度の基本的考え方はこうである。
「住民の共感と信頼を得て、地域課題の解決に貢献する活動を行うNPO法人を支援する仕組みとする。」
もちろん、NPOは自由であり、自らのミッションを遂行するためにあるのだが、今回の場合は、住民の共感と信頼を得た地域課題の解決を根本においた。
行政が恣意的に特定のNPO法人に仕事をさせたり、自らのミッションが住民の共感と信頼を得られてないNPO法人もあるなか、このように、神奈川ではきちんとマルチステークホルダーで検討や合意を重ね、公共を担うことをきちんと制度化できたのではないか。
(参考)県指定NPO法人制度 神奈川県
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f370165/