東日本大震災復興支援連続シンポジウム
子どもの参画による、こどもにやさしいまちの
再生をめざして
3月11日、東日本大震災復興支援連続シンポジウム「子どもの参画による、こどもにやさしいまちの再生をめざして―子どもの成育環境の視点に立った復興のあり方を考える―」(公益社団法人こども環境学会)が東京大学で開かれた。
同学会は、昨年の年次大会を中止して東日本大震災支援のための行動計画の立案のための「子どもたちに支援を!緊急集会」を行い、昨年4月に策定した行動計画によって震災支援・復興を行っている。
また、独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業の子ども元気まちづくりガイドライン作成事業の一環として東日本大震災復興支援連続シンポジウムや参画のワークショップを岩手、宮城、福島で開催し、被災者やこどもたちと行って来た。
「東日本大震災からの復興に際して、次世代を担う子どもたち自らがまちづくりに参加しながら、子どもたちが元気に育つことのできる子どもの視点に立ったまちづくりを実現すること」を目的に、「被災地の自治体などが復興まちづくりの資料として利用できる『子どもが元気に育つ復興まちづくりガイドライン』を作成し、被災地における子どもの視点に立ったまちづくりの推進」する事業を実施しております。
この事業の一環として、「子どもの参画による、こどもにやさしいまちの再生をめざして―子どもの成育環境の視点に立った復興のあり方を考える―」をテーマとして、被災地における連続シンポジウムおよび子ども参画のワークショップを開催いたします。」
開会の挨拶としてこども環境学会会長の小澤紀美子氏は、同学会は昨年はこどもの貧困を中心に仙台で大会を開催する予定であったが、中止し震災支援に切り替えた経緯などを述べた。
また、自ら持続可能な社会づくり、持続可能な開発のための教育を進めて来たが、社会としては経済中心の社会、そして、こどもの声を聞いてこなかったと語り、それを変えるためにこどもや被災者と『子ども参画による震災復興まちづくりガイドライン』を作ってきたと述べた。
基調講演「こども参画によるこどもにやさしい復興まちづくり」が行われた。
まず、こども環境学会代表理事の仙田満氏は「こどもに優しいまちづくり」として、こどもの生育環境とそれの環境を変えて行く提言とこども環境学会が実施した「東日本大震災復興プラン提案競技 知恵と夢の支援」について語った。
次に、千葉大学教授の木下勇氏は「復興計画にこども参画 / Child-Friendly-Cities」として、子ども参画による震災復興まちづくりのための子ども参画のワークショップの内容を語りながら、ジュニアリーダーやこども参画による復興計画を語った。
パネルディスカションでは被災地で活動をしている人々が登壇して、その実践を述べた。
「日本ユニセフ協会の被災地支援活動」として日本ユニセフ協会の専務理事の早水研氏は原則的には海外支援で国内の支援活動を行ってこなかった日本ユニセフ協会が震災支援を行った経緯と教育支援、心のケアとともに、こども環境学会とコラボしている「子どもにやさしい復興計画」などについ述べた。
発災の時間となり全員の黙祷の後に、「日本冒険遊び場による心のケアについてー気仙沼の実践から」として日本冒険遊び場づくり協会副代表の天野秀昭氏(大正大学特命教授)が被災地に遊び場(プレイパーク)をつくることで、こどもたちが変わった事や地域での変化などを述べた。
「親を亡くした子どものケア」として児童精神科医の清水將之氏(元関西国際大学教授)は阪神淡路大震災での支援活動の経験による支援を語るとともに、これから本格化するこどもの心の問題に対応する「石巻レインボーハウス」始めとする支援施設の機能について述べた。
「子ども参加によるまちづくり“Speaking Out From Tohoku~子どもの参加でよりよいまちに~”」としてセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの津田知子氏は地域における子どもの遊び場・居場所づくりのための 新「こどもひろば」や 被災した子どもたちが地域の復興に向けたまちづくりを考える子どもまちづくりクラブの活動を紹介した。
「まちづくりに「子ども市民」としての参画を」として災害子ども支援ネットワークみやぎ代表世話人の小林純子氏(チャイルドライン みやぎ 代表理事)が、こどもの権利条約やチャイルドラインの活動をしていたが、発災時から災害子ども支援ネットワークみやぎを設立し、こどもの支援を行ってきた状況やまちづくりへの「子ども市民」としての参画の必要性を述べた。
「よみがえれ!子どもの笑顔・元気 ー子ども笑顔元気プロジェクトの活動を通して」として(有)プランニング開代表の新田新一郎氏は、子ども笑顔元気プロジェクトを行っているのが宮城発祥の若者の地域のこども支援のジュニアリーダーであり、その力でこども支援の様々な活動を行っているが、こどもの力を信じて、その力を活かすようにしているという。
「こどもの力は∞だぜ!プロジェクト」としてNPO法人コドモ・ワカモノまちing代表理事の星野諭氏は従来のプレイトラックによる遊び支援活動を被災地に重点を置き、被災地に移動式子ども基地・遊びキット提供なども行い、支援を行っている。
このように『子ども参画による震災復興まちづくり』のために伝統的なジュニアリーダーの若者とともに、こどもたちと被災地で復興計画をつくっている。
そして、今迄の社会がこどもの声を聞いてこなかったことの反省として参画ワークショップを行っているが、本当にこどもの声を聞けているかという論議がされ、いつもその事を問い直しなしながら『子ども参画による震災復興まちづくり』を進めて行くことになった。
こども環境学会副会長の織田正昭氏(東京大学)は終わりの挨拶の中で、被災地のまだまだ困難な状況について語った。
また、会場の外にはこども環境学会が実施した「東日本大震災復興プラン提案競技 知恵と夢の支援」の復興プランの作品の展示がされた。
詳細 告知のみ
http://www.children-env.org/
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