スポットライトは私の隣の席に当たった!
「非選抜アイドル」 仲谷明香 著
(写真中央が仲谷、左がトップで感極まった前田)
2011年6月9日の日本武道館ではAKB48史上もっとも激戦になったAKB総選挙が行われた。
そこでトップを獲り、スポッライトをあびたのは前田敦子だった。
しかし、その隣の席には前田敦子の中学のクラスメートで、06年の入団以来一度も選抜入りがなく、じゃんけんでも勝てない、そして、総選挙でも圏外の「非選抜アイドル」の"なかやん"こと、仲谷明香(なかや さやか)がいた。
仲谷は、岩手でのびのびと育ったが、両親の離婚後、千葉に母親と引っ越してからひきこもりがちになり、声優になることだけを夢見てきた。
そして、ひきこもりの中学生ながら声優になりたくて通っていた声優養成所を金銭的事情で辞めざるを得なくなった時、「同じ中学で同級生だった前田敦子ちゃんがAKB48というグループで活躍していることを知り、いろいろ調べてみたら『いろんな活動をして自分の夢を叶える場所』ということがわかり、私も声優という夢を叶えるためにオーディションを受けようと思った。」と言う。
しかし、オーディションに受かっても、そこで待っていたのは苛烈なレッスンで倒れる研究生たち、メンバーになっても競争の中で生きざる得ない状況におかれ、場合によっては「卒業」していく仲間たち、そして、全てを順位で決めるための総選挙や個別オーディション。
ひきこもりがちで「何も期待しない」、「傷つかないように、諦めの気持ちだけは事前にしっかり持つ」ような仲谷が、チームで助け合わないと切り抜けられない状況の中で「自分」を仲間たちと変えていく。
「他のメンバー意地悪したり、邪魔をしたりすることようなことがあれば、それだけでメンバーとしては失格である。
やがて分かったのは、そうしたことは注意しなくても起こらない、ということだった。」
「何しろ、一人でもできないメンバーがいれば、全員、先に進めないのである。だから、自然とできるメンバーができないメンバーに教えるという光景がくり広げられるようになった。」
かつてのクラスメートが選抜の頂点に立っても、
それでも、彼女は「非選抜アイドル」で、AKB48ではあるがテレビにも雑誌にもあまり登場しない。
彼女は決意する。
「どうがんばっても、できないものはできない。
だったら、できることを一生懸命やるしかない。
しかし、やる以上はとことんやろう。」
社会でも学校でも競争は存在する。
その競争は、AKBほどではないか、それ以上か、
競争が良いか、悪いかは別にして競争は存在する。
そして、その競争が良い影響も悪い影響も及ぼす。
「競争」と「平等」
「ゆとり教育」と非「ゆとり教育」
「競争がいい」とか、「競争の無いことがいい」とか
いろいろな考えはあると思う。
競争しても、でも助け合わなくては生きて行けないAKB。
敗者?、非選抜でも存在を認められ、居場所があってAKBとしての役割があるAKB。
そして、なかやんは言う。
「私は、AKBというグループがなければ決してアイドルになれなかったし、また、声優になりたいという夢を持ち続ることもできなかっただろう。
過酷な努力をしたり、非選抜メンバーとしてとしての生き残り戦略(生き方、働き方)を模索するといった自分にとって苦手だと思ってきたことをすることもおそらくなかったと思う。」( )は筆者
「何も期待しない」、「傷つかないように、諦めの気持ちだけは事前にしっかり持つ」少女だった彼女が夢を持ち続け、夢を実現しつつあるのはなぜか
なぜ、声優なのか
また、夢を実現つつある"なかやん"仲谷明香について知りたい方は、
ぜひ、この「非選抜アイドル」を読んでほしい。
今、少女たちは傷つきながら夢を見て、それを実現しつつある。
(註)ただ、ここで過酷なAKBや、その大人の事情(メンバーの言い方)を容認している訳ではない。
しかし、それは同時に、今の私たちの社会の姿でもある。
「非選抜アイドル」
小学館101新書 131
仲谷明香/著
小学館
2012年04月
190P 18cm
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784098251315
◉本の帯より
僕の目は節穴だ。
だから、みんなにチャンスがある。
仲谷明香も見逃していた。
彼女の才能に
今さらながら
驚いた。
---秋元康
(付記)
◉4月3日の発売以来「非選抜アイドル」は入手困難でしたが、3刷で大増刷されました。
★Google+より
仲谷明香 4/14 21:49 - Mobile- 一般公開
お待たせしました!
増刷していた「非選抜アイドル」が刷り終わったようです…!
これから徐々に書店に並び始めると思います!引き続きよろしくお願いします
ΘωΘ*
◉なかやん! 少しずつ増刷がかかるようなアイドルっていいね。
おやしみー