201204213

 

 

 

 

国際シンポジウム「復興再生とこどもの参画」

 

 

こども環境学会2012年仙台大会

 

 21日、国際シンポジウム「復興再生とこどもの参画」では、基調講演としてシェフィールド大学准教授のヘレン・ウーリー氏の「子どもの野外の環境の重要性」が行われた。

 まず、ウーリー氏は、震災に関するお悔やみを述べ、私たちは自然と暮らしていくものであり、イングランドでもそういう生き方をしているし、震災も含めて日本でもそうであろうと語った。

 シェフィールドでのこども・市民参画による自然共生型のランドスケープづくり、まちづくりの報告がなされた。

 シェフィールドは産業都市でありながら、周辺の豊かな自然に恵まれたイングランドの大都市である。

 ここでのこども・市民参画による自然共生型のランドスケープづくり、まちづくりはケイティという一人の女性のアイディアから始まった。

 彼女は提案し、他の人の関与を求め、賛同者を募り、コミュニティで係るようにした。そして、パートナーシップをつくりあげ、資金を得る方策を考え、質のいいスペースを作り出した。

 

 

 ここで重要なことは、大人ばかりでなく、こどもの参画によってこども視点でスペースがつくられることで、彼らがその場を自分たちの大事な場所として扱うオーナーシップが育まれ、コミュニティに関与することになり、そして、何よりもコミュニティやまちをつくることができるということだと言う。

 そして、そのためにはそのような場をマネジメントできる、マネジメントする仕組みをつくることまでしなくてはならない。

 


 

 震災によってこどもたちが外で遊べない、放射能危機にさらされていることは大きな問題である。

 そして、震災は自然環境や都市環境という外部自然破壊だけでなく、家族・故郷・歴史文化という内部自然破壊も破壊する。

 その中で震災復興は容易なことではないがシェフィールドでのこども・市民参画による自然共生型のランドスケープづくり、まちづくりプロジェクトのプロセスは震災復興でも同じ部分があり、最初に一人が提案し、多くの多様な人やセクターとパートナーシップを組み、実現し、それを持続可能にマネジメントすること。そして、そこにこどもたちが参画することで、それが持続可能になる。

 

 

 続いて、パネルディスカッション「子どもの参画による被災地復興の可能性」が理事の木下勇氏のコーディネートのもとに、ウーリー氏と会長の小澤氏、代表理事の仙田氏、大会委員長の新田氏によって行われた。

 

 木下氏は、同学会としての「東日本大震災支援にかかる行動計画」に基づき復興支援活動、こども参画のワークョップ・計画づくりなどを行ってきて、こどもの参画の重要性を改めて確認したと同時に、宮城県発祥の地域活動を行う中高校生のボランティア組織“ジュニアリーダー”のメンバーの活躍と出会うことができた。

 40年以上にわたり続いてきたこどもの参画、若者のこども支援が被災地復興の大きな力となると考える。

 

 小沢氏は、同学会が「東日本大震災からの復興に際して、次世代を担う子どもたち自らがまちづくりに参加しながら、子どもたちが元気に育つことのできる子どもの視点に立ったまちづくりを実現すること」を目的に、被災地の自治体などが復興まちづくりの資料として利用できる『子どもが元気に育つ復興まちづくりガイドライン』を説明した。

 そして、被災したこどもたちは震災や津波を「ムカつく」ものとして捉えており、自然は「ムカつく」と思っている部分があることを指摘して、その実感やガレキの山の現実から出発して、こどもの参画で共にこれからのまちや地域をつくることが重要と語った。

 そして、震災から生れた「与え合う」、「助け合う」から始まる持続可能性をコンセプトとしたデザインが求められているという。

 

 仙田氏は、震災や復興ではこどもは忘れられがちであり、避難所でこどもはうるさいとか、保育園が迷惑な施設という風潮があるが「こどもの問題はおとなの問題」であると述べた。

 そして、「危機は本質をあぶり出す」といい、この本質を捉えて被災地復興を進めていかくなてはならないと語った。

 

 ウーリー氏は、シェフィールドでのプロジェクトのように震災復興も段階をおって多くの地域、多くの場所で展開できるといいと考えている。

 また、日本のコミュニテイを考える機会でもあり、自然と共存するランドスケープづくりが行えると良いとのこと。

 

 新田氏は、「被災地では中高生の活躍が目立った。宮城で盛んなジュニアリーダーの経験が生かされている。復興を進める上で子どもの力は不可欠。子どもが参画するまちづくりのあり方を仙台から発信したい。」と述べた。

 また、大津波と震災がやってきて全てを破壊されたが、東北に限らず、こども環境を悪化させる大津波は既にきていたという。今回の仙台大会や被災地からのヒントを得て、こども環境を悪化させる大津波を超えてこれから未来を共に築きたいと語った。

た。

 その後、質疑応答で震災と乳幼児、教育などの論議がされた。

 

 また、“ジュニアリーダー”の第1期生である新田氏が“ジュニアリーダー”の生みの親、育ての親である但木卓郎氏(元宮城県中央児童館館長)(写真左)を紹介して、但木氏からコメントを貰うシーンもあった。

 

 

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