こども環境学会2012年仙台大会
復興再生:子ども参画による子どもに優しいまちづくり
4 月21 日~22 日
2日目
22日、こども環境学会2012年仙台大会で学会賞受賞者記念講演会が開かれた。
まず、こども環境学会デザイン賞の「志津川小アクションリサーチプロジェクト」(プレイグラウンド・サポーターズ)の記念講演がプレイグラウンド・サポーターズ代表の石原健也氏により行われた。
プレイグラウンド・サポーターズは発災直後から宮城県南三陸町志津川地区に入り、大学教員、学生、建築家、専門家などが一部常駐もして被災者と協働で新しい生活の場づくりを行っている。
まず、支援ともに共同調査や関係づくり、避難所でもある学校など復旧作業などを経て、こどもたちとのワークショップなどでウォンツとニーズを把握した。
5月からものづくり、場づくりを開始し、仮設住宅の端にこどもたちの広場をつくり、そこがこどもたちの遊び場、高齢者の憩いの場となった。続いて、木製の床と屋根をつくり、そこが、大人の井戸端会議の場、こどものイベントスペースとなった。
10月の志津川小の運動会に際して仮設住宅があるために狭くなった校庭に観客席をつくり、それを点と要して仮設住宅に縁側をつくったと所、こどもたち遊び元気な声の響く仮設住宅となった。(写真)
現在は、これらの地域で人が集まれる場所、こどもが遊べる場所、高齢者が憩える場所として、いろいろと自由にレイアウトできて、冬の雪にも耐えられる施設を計画中である。(写真)
石原氏はこれまでの支援活動とデザインを「デザインの贈与あるいは贈与のデザイン」言う。
「この一年を振り返って、ぼくたちが常に悩み・考え・実践してきたこと。それを「デザインの贈与あるいは贈与のデザイン」という風に言いたいと思います。資金力も組織力もないぼくたちが、現地で出会った方々にむけてできたことは、デザインというスキルを使った、心を込めた贈り物であったと思うからです。」
「支援活動というのは、支援する人/される人という関係をつくります。そこに摩擦が生まれる事も少なくありません。良いものを苦労して届けたのだから感謝されて当然という気持ちが支援側に芽生えます。
しかし、贈り物は本来、ものの方だけで決めません。誰に送りたいのか、その人はこれを気に入ってくれるだろうか、その人に似合うだろうかと、一生懸命考えると思うんです。それでもうまく届かない事だって多々ある。効率とか費用対効果では測れないものです。」
「現在、制度に依って上から降ってくる補助金を如何に効率よく集めるかに復興計画の主眼があるように思います。そこを批判するのも大切ですが、今、皆さんの目の前にいらっしゃる被災された方々、とりわけ子ども達に、もう一度、私は何ができるのかを問い、あり余る情熱で関わり、効率の網の目に穴をあけていくことの方が、もっと重要なのではないでしょうか。皆さんの開ける多くの穴が連携していく事で、今は想像もできない未来が来るかもしれません。」
こども環境活動賞の「障がいのある子どもと造形ワークショップ、障がいのある子どもと演劇ワークショップ」の記念講演が白梅学園大学こども学部准教授の杉山貴洋氏により行われた。
ゼミの活動から始まったこのプロジェクトはこどもと学生が造形や演劇表現によって交流し場をつくることを構想し実現したものであり、こども一人に一人の学生が付き添って始まりから終わりの時間まで一緒に遊んだり、笑ったり、ずっと寄り添って行われている。
このことが障がいを抱えたこどもと親、地域社会にとって理解と成長を促すことを実現している。
その後、ポスターセッション表彰式を経て総括セッション、閉会式が行われた。
総括セッションでは、まとめとして「一人のアイディアから始まる」、「こどもの役割(意見を言う)、大人の役割(子どもの声を聞く)と震災復興コミッショナーの設置」、「計画から実行へ」などがあげられた。
そして、今回の成果と今までの震災支援と「東日本大震災支援にかかる行動計画」の活動、東北でのこどもたちの参画をもとに、震災復興計画への参画による「復興再生:子ども参画による子どもに優しいまちづくり」を実現を図ることとなった。
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