分科会1
被災地の「文化」を生かす子どものまちづくり
こども環境学会2012年仙台大会
21日の分科会1「 被災地の「文化」を生かす子どものまちづくり~ 外部NGO・ボランティアと現地の協働を考える~」は、宮城県子ども支援会議、子どもの心のケア、被災地でのCAPプログラム実施、被災地の乳幼児支援などのバートナーシップでの実施の実例を聞き、「こども環境学会を含め、これから子どもと共にまちづくりを行う団体の活動がさらに活発になっていくと思われるが、この分科会では、これらの経験をもとに、支援される被災地と支援者の双方が留意すべき点をふりかえり、まとめておきたい。」という趣旨で開催された。
「宮城県子ども支援会議の経過について」として宮城県教育庁義務教育課課長補佐の川田智佳子氏が発災後に物資支援の調整のためにNGO・NPOと行政で「宮城県子ども支援会議」の立ちあげなどを語った。
その後、物資支援は一段落したが、NGO・NPOは子どもの心のケア、被災地でのCAPプログラム実施、被災地の乳幼児支援や学習支援などに活動を行っており、宮城県子ども支援会議は続いている。
また、こども支援活動も未成熟な部分もあり、それが結果的に子どもを傷つけてしまうことがあり、宮城県子ども支援会議で「このようなことを防止したいと、世界の被災地で活動するNGOと、地元のNPO・行政が検討を重ねて作成されたのが子ども支援行動規範(ガイドライン)チェックリスト」である。
「宮城県の子どもの心のケア実施」については、公益財団法人プラン・ジャパン東日本大震災支援対策室の後藤亮氏は、途上国の子どもたちとともに地域開発を進めてきた経験から多様な支援を行い、今回はみんなで笑顔!プロジェクトなどを展開していてるが、ケア・宮城とバートナーシップを組み、地域に根ざした心のケアの支援を行っているという。
ケア・宮城代表の畑山みさ子氏は、宮城県の心理士のグループとしてこどもの心のケア、教員向け心のケアワークショップなどを行っているが、プラン・ジャパンとバートナーシップを組むことで今までできなかった組織的な展開やアドボカシーや子ども支援行動規範(ガイドライン)チェックリストの作成を行うことができたと述べた。
「被災地でのCAPプログラム実施」については、日本ユニセフ協会東日本大震災緊急支援本部子どもの保護アドバイザーの小野道子氏は、これまで主に途上国支援を行ってきたが、今回は多様な支援とともにCAPみやぎとバートナーシップを組むことで地元に即した支援が可能になったという。
CAPみやぎ代表の佐々礼子氏は、いじめ、虐待、性暴力といったさまざまな暴力からこどもの心と身体を守るためのCAP(Child Assault Prevention 子どもへの暴力防止)を震災のこどものケアや大人のケアに応用しているが、ユニセフとバートナーシップを組むことで、多様な試みを多くの場所で実施することが可能となったと述べた。
「被災地の乳幼児支援」については、東松島市ののびる幼稚園(学校法人寶國寺学園)の教員赤間法子氏は、同園は津波で園舎が全壊し、廃校の避難所を借りて保育を行っていたという。そこに、幼い難民を考える会から同園は「あおぞら保育」セットを寄贈を受けるなど多様な支援を受けていると述べた。
認定NPO法人幼い難民を考える会(CYR)事務局長の峯村里香氏は、世界で難民となったこどもたちへの物資支援、費用支援、人的支援を続けてきた経験を生かして震災支援を行っているが、現地の事情に精通しているパートナーを得て的確な支援ができたという。
発災後、すぐに宮城県のこども関係の団体やNPOが災害子ども支援ネットワークみやぎを立ち上げて活動を始めた、また、外部NGO・ボランティアも活動を始め、これらが宮城県子ども支援会議などでネットワークを組み、パートナーシップで活動を発展させた。
これらには、東北のこども文化をもとに、NGOが世界で培ってきた多文化共生文化・支援の文化が加わることで成り立ったとも言える。
注) この記事内容は、発表者・主催者の見解ではなく取材したSlowtimes.netの見解に基づいて書かれています。したがって、ご意見はSlowtimes.netまでご連絡ください。