分科会5
デザインで支える子どもたちの震災復興
こども環境学会2012年仙台大会
22日の分科会5「デザインで支える子どもたちの震災復興~生きる力の種をまく地域・学校の取り組み~」は、下記の趣旨で行われた。
「建築と子供たちネットワーク仙台と教育デザイン会議は、地域住民、大学等と連携して、これまで培ってきたデザイン学習の手法を使って、子どもたちの想いを形にして誰かを励ましたり、子どもたちの手で身近な環境の再生をお手伝いする活動を応援しようと動いています。
自分たちの活動が誰かを元気にし、その誰かとつながっているという気持ちが、子どもたち自身の元気を取り戻すことにつながるでしょう。それが地震・津波・原発事故という大災害に見舞われた子どもたちの“生きる力”になってくると信じています。」
建築と子供たちネットワーク仙台の代表渋谷セツコ氏の挨拶の中で、伝統的な建築物や景観を復活する活動や未来のまちや公園などをデザインする総合学習やワークショップなどを行い、こどもたちの創造力や問題解決力を養ってきた活動について語った。
「子どもたちと創る歴史的建築物の震災復興ー仙台奥州街道建たんけんガイドブックを活用して」として建築と子供たちネットワーク仙台(以下、「同ネットワーク」)の細田洋子氏が地域とこどもの参画で仙台奥州街道沿いの歴史的建造物の復興活動について述べた。
これは地域と地元の小学校で復活の活動して再建した仙台奥州街道沿いの歴史的建造物が東日本大震災で壊れたのを、再び、復興活動として再建したものである。
この活動に参画した小学生はこのように語っている。
「古く使われていない建物でも守るように頑張れば僕たちも役に立てる」
「七郷小学校震災復興学習の創造 ー自分が元気、まわりが元気、地域が元気ー」として仙台市立七郷小学校の亀崎英治教諭が、今迄の学習の成果と震災復興学習について述べた。
同ネットワークや行政、NPOと連携した学習プログラムで実社会とつながりをもった学習活動を展開してきた亀崎教諭は、体験から学ぶ問題解決学習と実社会とのつながりによる自己肯定感をもてるような未来を見据えた「たくましく生きる力」を養う教育を目指してきた。
今回の震災で七郷小学校は被災し、避難所となった経験を活かし、「ともに立ち上がろう!七郷ー豊かな未来を思い描く震災復興学習の創造ー」を学校テーマとして、各自が自分が元気(前向きな心と態度)、まわりが元気(人間関係形成力)、地域が元気(地域のことを考えられるものの見方・考え方)を目指して全学年がそれぞれの震災復興学習ブロジェクトを未来志向の学習プログラムとして取り組んでいるという。
「つながりを大切に認め合い助け合う子どもを育てる 津波被災校に本を贈るプロジェクト展開」として仙台市立吉成小学校の菅原浩一教頭、6年生土屋奈々さん、柴山晏佳さん、志村萌々子さんが「児童生徒による故郷復興プロジェクト」について語った。
同校では、被害の少なかった学校として「震災を他人事にしない」、「このときだからできる教育」を考え、児童発案による被災した「東六郷小学校へ本を贈るプロシェクト」を行った。
児童たちはこのプロジェクトを行う過程で様々な人たちと連携=「つながり」を生み出しながら、そこから学び、一段深く考え、相手を思いやることができた。
土屋奈々さんは「私たちは、全く面識のない方々に協力をして頂き、本当に助かりました。」と述べている。
そして、この学習・プロジェクトで現実社会(人)の多様なつながりの中で総合的に学ぶことで、「創造的な問題解決力を高める」ことができたという。
その後、仙台市教育センターの堤祐子氏のコメントと質疑応答で論議を深めることが出来た。
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