20120614

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 スローレポート 『S−Report』 (6/14号)

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  ◆◆◆ 力を合わせる ◆◆◆

 こども環境学会2012年大会(仙台)5


 こども環境学会2012年仙台大会の分科会報告です。


以下、WEBでも同じ内容を読めます。

  分科会1「被災地の「文化」を生かす子どものまちづくり~」
    http://www.slowtimes.net/2012/04/22/201204221/

  分科会2「こどもにやさしい復興計画のあり方とその課題」
    http://www.slowtimes.net/2012/04/26/201204222/

  分科会5「デザインで支える子どもたちの震災復興」
    http://www.slowtimes.net/2012/04/22/201204225/ 

 21日の分科会1「被災地の「文化」を生かす子どものまちづくり~ 外部NGO・ボランティアと現地の協働を考える~」は、宮城県子ども支援会議、子どもの心のケア、被災地でのCAPプログラム実施、被災地の乳幼児支援などのバートナーシップでの実施の実例を聞き、「こども環境学会を含め、これから子どもと共にまちづくりを行う団体の活動がさらに活発になっていくと思われるが、この分科会では、これらの経験をもとに、支援される被災地と支援者の双方が留意すべき点をふりかえり、まとめておきたい。」という趣旨で開催された。
 
 「宮城県子ども支援会議の経過について」として宮城県教育庁義務教育課課長補佐の川田智佳子氏が発災後に物資支援の調整のためにNGO・NPOと行政で「宮城県子ども支援会議」の立ちあげなどを語った。
 その後、物資支援は一段落したが、NGO・NPOは子どもの心のケア、被災地でのCAPプログラム実施、被災地の乳幼児支援や学習支援などに活動を行っており、宮城県子ども支援会議は続いている。
 また、こども支援活動も未成熟な部分もあり、それが結果的に子どもを傷つけてしまうことがあり、宮城県子ども支援会議で「このようなことを防止したいと、世界の被災地で活動するNGOと、地元のNPO・行政が検討を重ねて作成されたのが子ども支援行動規範(ガイドライン)チェックリスト」である。
 
 「宮城県の子どもの心のケア実施」については、公益財団法人プラン・ジャパン東日本大震災支援対策室の後藤亮氏は、途上国の子どもたちとともに地域開発を進めてきた経験から多様な支援を行い、今回はみんなで笑顔!プロジェクトなどを展開していてるが、ケア・宮城とバートナーシップを組み、地域に根ざした心のケアの支援を行っているという。
 ケア・宮城代表の畑山みさ子氏は、宮城県の心理士のグループとしてこどもの心のケア、教員向け心のケアワークショップなどを行っているが、プラン・ジャパンとバートナーシップを組むことで今までできなかった組織的な展開やアドボカシーや子ども支援行動規範(ガイドライン)チェックリストの作成を行うことができたと述べた。
 
 「被災地でのCAPプログラム実施」については、日本ユニセフ協会東日本大震災緊急支援本部子どもの保護アドバイザーの小野道子氏は、これまで主に途上国支援を行ってきたが、今回は多様な支援とともにCAPみやぎとバートナーシップを組むことで地元に即した支援が可能になったという。
 CAPみやぎ代表の佐々礼子氏は、いじめ、虐待、性暴力といったさまざまな暴力からこどもの心と身体を守るためのCAP(Child Assault Prevention 子どもへの暴力防止)を震災のこどものケアや大人のケアに応用しているが、ユニセフとバートナーシップを組むことで、多様な試みを多くの場所で実施することが可能となったと述べた。
 
「被災地の乳幼児支援」については、東松島市ののびる幼稚園(学校法人寶國寺学園)の教員赤間法子氏は、同園は津波で園舎が全壊し、廃校の避難所を借りて保育を行っていたという。そこに、幼い難民を考える会から同園は「あおぞら保育」セットを寄贈を受けるなど多様な支援を受けていると述べた。
  認定NPO法人幼い難民を考える会(CYR)事務局長の峯村里香氏は、世界で難民となったこどもたちへの物資支援、費用支援、人的支援を続けてきた経験を生かして震災支援を行っているが、現地の事情に精通しているパートナーを得て的確な支援ができたという。
 
 発災後、すぐに宮城県のこども関係の団体やNPOが災害子ども支援ネットワークみやぎを立ち上げて活動を始めた、また、外部NGO・ボランティアも活動を始め、これらが宮城県子ども支援会議などでネットワークを組み、パートナーシップで活動を発展させた。
 これらには、東北のこども文化をもとに、NGOが世界で培ってきた多文化共生文化・支援の文化が加わることで成り立ったとも言える。

 22日、分科会2「こどもにやさしい復興計画のあり方とその課題」 は、下記の趣旨で行われた。

「本分科会では、テーマを『こどもにやさしい復興計画のあり方とその課題』とし、こども参画を復興まちづくりの中に具体的に展開していくための課題や方向、 方法を討議するもので、被災地のこどもの思いや考え、行政の方たちから伺う復興まちづくりの現状と課題、両者を結び付けるための専門家の知見等を、提示し あうことで、被災地におけるこどもたちの復興まちづくりへの参画の推進を図るものである。 こども環境学会では、震災当初から、いち早くこの問題に取り組んできており、『復興プラン提案競技「知恵と夢」』の実施、『子どもが元気に育つ復興まちづ くりガイドライン』の作成、被災地における連続シンポジウム『子どもの参画による、こどもにやさしいまちの再生をめざして(― 子どもの成育環境の視点に立った復興のあり方を考える― )』の実施等を積極的に行ってきたが、この仙台大会、あるいはその中でのそれぞれの分科会では、これらの連続した取り組みを更に発展させ、少しでも有効性 のある『復興まちづくりへのこども参画』のあり方、目指すべき方向、具体的な課題、手法等を見出していきたい。」
 
 こども環境学会代表理事の仙田満放送大学教授は、「復興・再生における課題と手法」として環境デザインの5つの柱として関係性、調和性、参加性、統合性、持続可能性をあげ、計画から実現の課題として関係者の参画、創造的解決、再生のための手法として住民参画とコンベンションを提案した。
 
  日本冒険あそび場づくり協会代表大村虔一 氏(元宮城県教育委員長)「復興まちづくりにおけること゜も・市民参画の課題として、住民は個人や地区の利益誘導に陥らない創造的意見の・提案、行政はアリバイづくり的ではない実態調査などが必要であり、住民と行政の協働はもちろん幅広い協働、市民同士の合意形成が重要と語った。
 そして、こどもの参画もつまり、こどもからの意見聴取やプラン提案を受け入れる地域や行政は震災復興や少子化時代の地域持続に欠かせない地域の未来の担い手の育成につながる。
 
 岩手県復興局技監の蓮見有敏氏は「計画づくりの段階からごともたちの参画を!」、宮城県震災復興企画部震災復興政策課長の千葉隆政氏は「宮城県震災復興計画におけるこどもの参画について」、福島県子育て支援担当理事の鈴木登美雄氏は「福島県の子どもたちと復興計画」というように震災復興担当の行政職員がこどもにやさしい復興計画のあり方について述べた。
 
 この中では平時のふつうのまちづくりと違う復興まちづくりとごどもの問題が論議された。
 複雑な多様性の中での合意形成の難しさと必要性、目標を明確してこどもと大人との役割明確にすることなどの重要性が語られた。
 そして、こどもにわかる未来図が公開されていない中で、こども若者の社会力のアップとこどもの参画によって、地域の未来を担うこどもたちが計画をつくることが必要性などが論議された。
 
 現在、こどもたちに楽しんでもらったりするイベントと同時に、こども意見を復興まちづくりの中に反映させるワークショップなども行われている。
 他方、復興や回復のため基盤整備には緊急性や優先順位もあり、こどもたちやこども環境の問題は置き去りにされている部分もある。
 これらの意味において、実際の県や市町村の復興計画や復興まちづくりの中にこどもの意見・計画を反映させて計画をつくることが重要だと考えられる。
 そして何よりも、未来を担うこどもたちの意見が無い未来のまちづくり・計画は問題である


 22日の分科会5「デザインで支える子どもたちの震災復興~生きる力の種をまく地域・学校の取り組み~」は、下記の趣旨で行われた。
 
「建築と子供たちネットワーク仙台と教育デザイン会議は、地域住民、大学等と連携して、これまで培ってきたデザイン学習の手法を使って、子どもたちの想いを形にして誰かを励ましたり、子どもたちの手で身近な環境の再生をお手伝いする活動を応援しようと動いています。
 自分たちの活動が誰かを元気にし、その誰かとつながっているという気持ちが、子どもたち自身の元気を取り戻すことにつながるでしょう。それが地震・津波・原発事故という大災害に見舞われた子どもたちの“生きる力”になってくると信じています。」
 
 建築と子供たちネットワーク仙台の代表渋谷セツコ氏の挨拶の中で、伝統的な建築物や景観を復活する活動や未来のまちや公園などをデザインする総合学習やワークショップなどを行い、こどもたちの創造力や問題解決力を養ってきた活動について語った。
 
 「子どもたちと創る歴史的建築物の震災復興ー仙台奥州街道建たんけんガイドブックを活用して」として建築と子供たちネットワーク仙台(以下、「同ネットワーク」)の細田洋子氏が地域とこどもの参画で仙台奥州街道沿いの歴史的建造物の復興活動について述べた。
 これは地域と地元の小学校で復活の活動して再建した仙台奥州街道沿いの歴史的建造物が東日本大震災で壊れたのを、再び、復興活動として再建したものである。
 この活動に参画した小学生はこのように語っている。
「古く使われていない建物でも守るように頑張れば僕たちも役に立てる」
 
 「七郷小学校震災復興学習の創造 ー自分が元気、まわりが元気、地域が元気ー」として仙台市立七郷小学校の亀崎英治教諭が、今迄の学習の成果と震災復興学習について述べた。
 同ネットワークや行政、NPOと連携した学習プログラムで実社会とつながりをもった学習活動を展開してきた亀崎教諭は、体験から学ぶ問題解決学習と実社会とのつながりによる自己肯定感をもてるような未来を見据えた「たくましく生きる力」を養う教育を目指してきた。
 今回の震災で七郷小学校は被災し、避難所となった経験を活かし、「ともに立ち上がろう!七郷ー豊かな未来を思い描く震災復興学習の創造ー」を学校テーマとして、各自が自分が元気(前向きな心と態度)、まわりが元気(人間関係形成力)、地域が元気(地域のことを考えられるものの見方・考え方)を目指して全学年がそれぞれの震災復興学習ブロジェクトを未来志向の学習プログラムとして取り組んでいるという。

 「つながりを大切に認め合い助け合う子どもを育てる 津波被災校に本を贈るプロジェクト展開」として仙台市立吉成小学校の菅原浩一教頭、6年生土屋奈々さん、柴山晏佳さん、志村萌々子さんが「児童生徒による故郷復興プロジェクト」について語った。
 同校では、被害の少なかった学校として「震災を他人事にしない」、「このときだからできる教育」を考え、児童発案による被災した「東六郷小学校へ本を贈るプロシェクト」を行った。
 児童たちはこのプロジェクトを行う過程で様々な人たちと連携=「つながり」を生み出しながら、そこから学び、一段深く考え、相手を思いやることができた。
 土屋奈々さんは「私たちは、全く面識のない方々に協力をして頂き、本当に助かりました。」と述べている。
 そして、この学習・プロジェクトで現実社会(人)の多様なつながりの中で総合的に学ぶことで、「創造的な問題解決力を高める」ことができたという。
 その後、仙台市教育センターの堤祐子氏のコメントと質疑応答で論議を深めることが出来た。


注) この記事内容は、発表者・主催者の見解ではなく取材したSlowtimes.netの見解に基づいて書かれています。したがって、ご意見はSlowtimes.netまでご連絡ください。

◆◆◆             ご案内              ◆◆◆

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【参加者募集】6/16-17 ESD-J全国ミーティング2012

 今こそ持続可能な社会と教育の価値を共有しよう
 -ESDコーディネータープロジェクト・キックオフ-
http://www.esd-j.org/j/topics/topics.php?itemid=3270&catid=89

 
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国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年も残すところ3年を切りました。
2014年秋には、ESDの10年総括会議が名古屋と岡山で開催されます。
ESD-Jでは、2014年をひとつのマイルストーンと捉え、2015年以降、
より充実したESDが各地で展開されていくようなESD推進の仕組みをつくろうと
「2014年目標と活動方針」を定めました。そして、今年から三年間、
ESDコーディネーターの育成とネットワークづくりに取り組みます。
今年の全国ミーティングでは、ESDコーディネータープロジェクトのキックオフとし
て、



ESDを推進するコーディネーター像の共有と、育成に向けた課題、
ESDコーディネーターが活躍できる仕組みのあり方などについて議論を開始します。

また、1年後の東北の今の報告、参加者によるポスターセッションなど、
地域でのESDコーディネートの参考となる情報の共有、関係者の交流も行います。
ぜひ、ご参加ください。


●開催日程(2日間)
 2012年6月16日(土)11:00~16:30
      17日(日)10:00~15:00
 
 ※6/16終了後、19:00までESD-Jの総会を行います
 ※6/16 夜、 19:30~ 懇親会を予定しています

●スケジュール

【1日目】
11:00 開会
11:30 現地報告 「いま東北で」  東北からのレポート
            コーディネーター ESD-J理事 小金澤孝昭
      「放射線副読本が示す学びのあり方」
            福島大学共生システム理工学類 後藤 忍 氏
      「つながりが織りなす震災復興」
            南三陸町立伊里前小学校教諭 阿部 正人 氏
      「三陸ひとつなぎ自然学校」
            NPO法人ねおす 高木 晴光 氏
12:45 ランチ
13:45 基調提案 「ESDコーディネータープロジェクトが目指すもの」
      環境省ESDコーディネーター育成検討報告
                       都留文科大学教授 高田研氏
      ESDコーディネータープロジェクトの紹介
                       ESD-J理事 壽賀 一仁
14:15 パネルディスカッション   コーディネーター ESD-J理事 森 良
      日本ボランティアコーディネーター協会 小原 宗一 氏
      群馬県教育委員会生涯学習課青少年教育係 太田 祥一 氏
      NPO法人 日本ファシリテーション協会フェロー  鈴木 まり子 氏
15:15 休憩
15:35 ワールドカフェ    コーディネーター ESD-J理事 池田 誠
16:50 全体まとめ・課題提示・翌日分科会選択
17:00 閉会

(17:30-19:00 ESD-J総会 )

19:30 懇親会


【2日目】
10:00 全体会  前日の振り返り・分科会の説明
10:30 分科会
     ①生物多様性を大切にした地域づくりに向けたコーディネーション
       リソースパーソン :調整中
       コーディネーター :大島順子、新海洋子
     ②学校と地域が連携したESDのためのコーディネーション
       リソースパーソン :多摩市教育委員会 中谷愛氏
                    多摩市立連光寺小学校 羽澄ゆり子氏
       コーディネーター :池田満之
     ③復興とコーディネーション力 (コーディネーションの在り方)
       リソースパーソン :南三陸町立伊里前小学校教諭 阿部 正人 氏
       コーディネーター :長岡素彦、壽賀一仁
12:30 ランチ
14:00 まとめのセッション
15:00 終了

☆ポスターセッション
 ミーティング開催中、ポスターセッションの場所を設けます。
 参加ご希望の方は、申込み時にお知らせください。

●開催場所
 JICA東京(東京都渋谷区西原2-49-5)

●会場アクセス
 京王新線 幡ヶ谷駅下車(南口出口)徒歩8分
 地下鉄千代田線 代々木上原下車(西口出口)徒歩12分>
 http://www.jica.go.jp/tokyo/office/pdf/map_tokyo.pdf

●参加費<2日間通し参加費用として>
 ESD-J正会員・学生2,000円
 ESD-J準会員・賛助会員・一般 4,000円
 (別途、お弁当代、懇親会費がかかります・・・・申込フォームに記載)

●申込みは下記ウェブフォームよりお願いします
 http://goo.gl/AFASu

 ※上記をクリックすると入力画面がひらきますので
  必要事項を入力のうえ送信ボタンを押して下さい

●プログラム最新情報は追ってESD-Jウェブサイトでご案内してまいります。

●主催: 認定NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)
 http://www.esd-j.org


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問合せ先:
認定NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)
全国ミーティング担当 後藤、牧野、村上
E-mail:zenkoku2012@esd-j.org

TEL:03-3797-7227 FAX:03-6277-7554

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