関東ESD学びあいフォーラム2013
1月26日、「関東ESD学びあいフォーラム2013 ESDの視点をプラス 身近な活動を持続可能な地域づくりにつなげよう」(主催 環境省関東地方環境事務所 企画・協力ESD-J)が、東京のガールスカウト会館で行われた。
「地域には、さまざまな課題を抱えた人がいます。日本語が不自由で生活に困る、農業の後継者がいない、安心してのびのび遊べる場所がない、身近な環境を守りたい・・・・。 そんな課題を解決しようと始まった取り組みは、時に地域に広がり、多様な人をつなぎ、かかわった人たちを元気にしていきます。そんな活動に共通するポイントはなんでしょうか? 本フォーラムは、活動の実践者や地域のコーディネーターの皆さまと、地域によくみられる課題解決の取り組みを、ESDの視点でブラッシュアップするワークを通して、それぞれの活動を持続可能な地域づくりや人づくりにつなげていくポイントを共有することを目指します。」(開催趣旨)
ESDとはヨハネスブルグサミットにおいて日本が提唱し実現した「国連持続可能な開発のための教育の10年」は、2005年から2014年迄行われる「持続可能な開発のための教育=Education for Sustainable Development」のことであり、これは社会・環境・経済・文化の視点から、人類が直面する様々な課題に取り組み、公正で豊かな未来を創る「持続可能な開発」を実現する力を、世界各地に生きる私たちひとり一人が学び育むことを目指している。
全体会の講演「持続可能な地域をつくるESDの視点とは」では、ESD-J理事の森良氏のESDの視点を述べた。 それは、持続可能な地域をつくるESDの視点(地域・社会を持続可能にするための社会・環境・経済・文化の視点)で、目標とともに、プロセスを重視し、それぞれの大切にしたいことから考えて様々な課題に取り組むものである。
分科会「身近な課題に、ESD的に取り組むには?」は4つの分科会に分かれて行われた。
第1分科会「環境教育をいかして多文化共生をすすめたい」では、太田祥一氏(群馬県生涯学習課)の多文化共生を単に外国籍市民だけでなく、高齢者、こども障害を抱えた人などとの共生プロジェクトの事例紹介の後、ファシリテーター野口扶美子氏(ESD-J)と参加者で論議した。
第2分科会「地域とつながりをつくりたい」では、小森里香氏(CominGooDay実行委員会)のママたちのつながりづくりイベントの事例紹介後、ファシリテーター菊地敦子氏(workshop”reco”)と参加者で論議した。
第3分科会「地域の環境を大切にした農業を守りたい」では、加藤大吾氏(都留環境フォーラム)の絶滅危機の在来種をつかった農業活性化の事例紹介の後、ファシリテーター阿部巧氏(中越防災安全推進機構)と参加者で論議した。
第4分科会「貧困で未来を描けない子どもをなんとかしたい」では、栗林知絵子氏(豊島WAKU WAKUネット)の事例紹介を行った。 池袋のシングルファミリーの中学生が高校へ行きたいが、学力もなく、親も頼れず、途方に暮れていた。 彼がブレイパークの関係でたまたま知り合った栗林知絵子氏に打ち明けたところ、即座に同氏の自宅で補習を始め、そのうちプレバークの関係から学生が集まってきて学習サポートするようになり、彼は高校に合格することができた。 そして、それが無料補習教室に発展し、こどもの幅広い支援のための豊島WAKUWAKUネットを結成したという。 森良氏がファシリテーターとなって、豊島WAKUWAKUネットどう発展させるかを論議し、身近な活動を持続可能な地域づくりにつなげるための方法を考えた。
全体会「ESD化するための視点を抽出し共有しよう」では、これら4つの分科会の議論を参加者全員が聞き、それを受けて今までの活動に具体的なESDの視点をプラスして身近な活動を持続可能な地域づくりにつなげる論議が深められた。
これらをふりかえり、グループワークでESD化するための視点を抽出し共有し、全体セッションでそれをまとめた。
情報共有として「+ESDプロジェクトの紹介」について環境パートナーシップ会議より、関東でのESDコーディネータープロジェクト(ESD-J)についてESDさいたまの長岡素彦から報告された。
最後に、環境省関東地方環境事務所課長の熱のこもった挨拶で終わった。
このフォーラムは、環境省のESDコーディネーターのあり方検討会や昨年度の関東ESD学びあいフォーラムに論議に基づき、また、筆者も含めて関東各地のコーディネーターによるESDコーディネータープロジェクト(ESD-J)で企画がつくられた。