自治体派遣職員の声
「3.11から間もなく2年が過ぎようとしています。こうした気運も時間の経過で低下していくことは避けがたいことです。一日も早い復興が求められており、我々も頑張っていきたいと思っています。
お会いした「地域づくり懇談会」は、女川町の離半島部15集落で9月から月1ペースで開催しており、どの地区も高台団地の造成案が固まりつつあるところです。御前浜においては造成の基本方針が決定し、「あとの詳細は××さんに任せた」と、満場一致で合意されたので、あとは××さんとともに細部の詰めを行い、事業を国・県に認めてもらう手続きへと進めていきます。
ところで、今離半島部の最大の課題となっているのが、「被災跡地(浜)の嵩上げ」です。高台団地は防災集団移転促進事業(国交省)で造成しますが、そこで発生する残土は、「運搬・処分は認められるが付近地で敷均し・転圧することは不可」となっています。被災跡地(浜)は漁業集落防災機能強化事業で整備しますが、この事業でも「事業費は漁業関係用地の嵩上げにしか使えない」となっています。結果として「高台からタダの土が大量に出るのに、これを沈下した浜の嵩上げに使えない」というジレンマに陥っています。このほかにも復興交付金による事業要件が被災地の実情に合わない部分が多々あり、被災市町村では苦慮しており、関係省庁に相談・陳情しているところです。
私の立場をご説明しますと、任期が昨年4月から今年の3月までの派遣職員です。そんな区切りでは離半島15地区の復興整備計画が中途半端な形での引継ぎとなるので、女川町と派遣元の愛知県豊田市に期間延長を願っているところです。しかし延長が実現しなければ女川町を去る身なのです。
話は脱線しますが、われわれのような他市町村からの派遣職員は多く、女川町の復興推進課では23人中半数の12人が派遣職員です。自分で言うのもなんですが復興の大きな原動力となっています。これが公務員の派遣制度上仕方ないことなのですが4月1日でもって総入れ替えとなります。復興の足が止まる、とまでは言いませんが間違いなくスピードが落ちます。引継ぎ書類をしっかり作ろうにも、夜も休日もない激務の中でそんな時間もとれません。(毎日のことなので、12時を回る前には帰宅するよう心掛けていますが)なるべく任期を長くこちらの復興に専念したいのがまず第一ですが、それが無理であれば、引継ぎのために交代する派遣職員との重複期間をある程度設けてくれるよう派遣先、派遣元に実情を訴えているところです」