「復興教育」副読本を導入へ…岩手県教委
岩手県教育委員会は、県内の公立小中学生向けに、地震・津波の仕組みや防災知識などをまとめた独自の副読本を2013年度に作成する方針を固めた。14年度に全児童生徒に配布し、県内46校のモデル校で今年度に始まった「復興教育」にも生かしたい考えだ。
副読本は小学校低学年と高学年、中学校の3種類を想定。内容は、〈1〉東日本大震災の被災状況〈2〉災害の歴史やメカニズム〈3〉身を守る知識〈4〉救援活動やボランティア〈5〉復旧復興の歩み――など、自然災害を総合的に学べる教材を目指す。
東日本大震災を受けた副読本は、東京都教委などでも作成されている。本県では「現場に新しい防災教育の考え方を浸透させることが先決」として、副読本に先駆けて今年度から「復興教育」を始めた。
「復興教育」は、定型的な訓練が主だった従来の防災教育を改め、家族や地域のつながり、災害の仕組みや経済的影響、非常時の行動などの学習を全科目に取り入れて児童生徒の防災意識を高める考え方。沿岸12市町村で24校、内陸21市町村で22校をモデル校に指定し、各20万円を助成して具体的な取り組みを促している。
教員からは「防災を真剣に考えるようになった」との評価がある一方、「内陸と被災地の交流が形式的なイベントに終始している例がある」(県教委)との指摘も出ている。
県教委は来年度にモデル校を増やすことを検討中で、「復興教育の充実の一助となるような副読本としたい」としている。
(2013年1月15日 読売新聞)