若者を対象にしたアプリのコンテスト「Digital Youth Award」決勝大会
ジェスチャーでアプリを起動できる「Touch 8」などがグランプリ
2013/03/01
八木 玲子=日経パソコン
ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)は2013年2月28日、若者を対象にしたWindows 8向けアプリ(Windows ストアアプリ)のコンテスト「Digital Youth Award」の決勝大会を開催した。ジェスチャーで任意のアプリを起動可能にする「Touch 8」などがグランプリを獲得した。
Digital Youth
Awardは、次代を担う革新的な人材の輩出を目的に開催したコンテスト。18歳以上29歳までの若者(学生か社会人かは不問)を対象に、「人が“豊か”になる国民的アプリ」をテーマにしたアプリを募集した。開発したアプリの出来栄えを競う「アプリ開発部門」と、アプリのアイデアを競う「アイデア発想部門」の2部門があり、両部門の応募総数は1100に上った。その中から、予選を通過した12チームが決勝大会に出場した。
アプリ開発部門でグランプリを獲得したTouch
8は、「あらゆるストアアプリを指先で起動するランチャー」(開発者の桑原匠吾さん)。起動したいアプリと、それを起動するための指の動き(ジェスチャー)を登録しておけば、タッチパネル上をなぞるだけで目的のアプリを起動できる。人に見られたくないアプリなど、デスクトップにショートカットを作るのがはばかられるものでも、簡単に起動できるというメリットがある。
以上の説明だけでは「単純なユーリティティソフトか、と思われがちだが、そうではない」と桑原さん。多くのソフトで、ファイル保存機能のアイコンにフロッピーディスクの絵が使われていること、子どもたちのほとんどはフロッピーディスクを見たことがないことなどを挙げながら、「ユーザーインタフェース(UI)における子どもと大人の常識は異なる」と指摘。この点で、指先のジェスチャーは直感的で、世代などによる差が生まれにくい、と説明した。
さらに世界中で登録されたジェスチャーのデータを収集して解析することにより、「人類共通のジェスチャーを見つけられる可能性がある。つまり、みんなでUIを作っていける。こんなUIができたら、子どももWindowsを好きになって、世界を豊かにするいろいろなアプリを生み出してくれるはず」(桑原さん)。Touch
8だけでなくジェスチャーのデータ自体もさまざまな機器向けに販売できる、と、事業化の可能性も強調した。
アプリ開発部門では、Touch 8を含めた5作品が最終選考に残った。審査は難航したというが、Touch 8は「Windows 8やタッチ操作、タブレットやスマートフォンなどの今後を見据え、世界中で問題になりそうなテーマを丁寧に考えて作られていることを評価した」(特別審査員を務めたインテカー社長の齋藤ウィリアム浩幸氏)という。
アイデア発想部門でグランプリを獲得した「ジャパニコーゼ」は、「ジャパン」+「行こうぜ」を掛け合わせた造語。卒業式を翌日に控える、福島県立会津工業高等学校3年生、吉田圭汰さんが考案した。高齢化社会を前向きにとらえ、シニア層の豊富な知識・智恵を、日本を訪れる外国人を増やすために使う、というアイデアだ。これによって、シニア層の生活に新たな価値を提案したいという。
シニアには、外国人のガイド役を務めてもらう。アプリには、観光地を案内する画面や翻訳機能などを用意して、ガイドの仕事をサポートする。さらにガイド認定制度を設けて、インストラクターによるガイド講習を展開する構想も披露。「人を豊かにする」というコンテストのテーマに則していたことが評価され、グランプリを受賞した。
準グランプリは、アプリ開発部門では「筆談パッド」(田中善之さん)、アイデア発想部門では「ba-show」(和泉眞人さん)が受賞。WDLC理事賞は、「震災復興アプリ」の武井茉莉花さんが選ばれた。このほか、協賛企業各社からの賞も贈られた。
コンテストを主催したWDLCは、2007年に設立された、Windowsを中心としたデジタル機器の普及を促進する団体。日本マイクロソフトが主導し、パソコンや周辺機器のメーカーなど約120社が参加する。