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<東日本大震災>県外避難者「故郷戻らぬ」8割
本紙調査毎日新聞 3月5日(火)2時31分配信
東日本大震災で大きな被害のあった岩手、宮城、福島の3県から全都道府県に避難している県外避難者への毎日新聞のアンケートで、回答者の8割が移住の意向を示し、2割強が実際に移住していた。震災から半年おきの調査のたびに移住志向は増えている。東京電力福島第1原発事故で避難区域が設定された福島県からの避難者は、2割が「差別された」と感じたことがあり、6割が被ばくによる健康不安を抱え、9割近くが東電の賠償に不満を持っていた。11日で震災発生から2年。アンケートからは原発事故が復興に影を落としている現状が改めて浮き彫りになった。
アンケートは4回目。前回までの回答者に新規25人を加えた計118人に先月、記者が聞き取るなどした。回答者は岩手5人▽宮城20人▽福島93人。
現在の県外避難者数は岩手1669人▽宮城8531人▽福島5万7135人になる。
被災時の住所を離れて移住することについて、「考えていない」が20%で、「考えている」は58%、「移住した」が22%だった。「移住を考えている」は半年後の調査では54%で、1年後63%、1年半後75%と推移。今回調査で新設した「移住した」と「考えている」を合わせると移住の意向を示した人は80%になった。理由(複数回答)は「被ばくが不安」が37人と最多、「帰還の見通しが立たない」が36人で続いた。
被災時の家族構成の変化は、「一緒に住んでいない」が50%で、そのうちの27%が母子での避難だった。
避難先は、「行政があっせんした家賃なしの住宅」が42%、「自分で見つけて行政に借り上げてもらった家賃なしの賃貸住宅(みなし仮設)」が27%、「家賃ありの賃貸住宅」12%と続いた。避難先の住宅に関する不安は「ある」「ない」がほぼ半数で、不安の理由は、「3年間の期限後が心配」など、帰還のめどが立たない中でいつまで住めるかの不安が多かった。災害救助法で定める仮設住宅(みなし仮設も同じ)の入居期限について、政府は3年間に延長したが、さらに1年の延長を検討している。
生活資金の状況は、「苦しい」が24%、「どちらかと言えば苦しい」が35%で前回同様6割が苦境を訴えた。
◇福島県「健康不安」58%
福島県からの避難者に限った質問では、ほぼ半数の46人が行政の指示を受けた避難、47人が自主避難だった。福島からの避難を理由にした「差別」については、80%が「感じない」と回答。周囲からの心ない発言やネットの書き込み、「ナンバーをじろじろ見られた」などの理由で20%が「感じた」と答えた。健康不安は58%が、子どもの将来や避難時の被ばくなどを理由に「ある」とした。国内の原発の今後については、「即時廃止」が42%、「時間をかけて廃止」が56%で、「存続」は2%だった。【震災取材班】