避難疲れたら一服 埼玉・旧騎西高 双葉町民が被災者用カフェ
古里から離れて暮らす被災者に、くつろぎを-。東京電力の福島第一原発事故で福島県双葉町民が役場ごと避難している旧騎西高校(埼玉県加須市)で二十二日、避難者向けのカフェがオープンした。市内のアパートで一人娘と避難生活を続けながら、運営スタッフになった双葉町民の鵜沼友恵さん(37)は「不安や孤独感を癒やせる場にしたい」と話す。 (石井宏昌)
東京新聞:避難疲れたら一服 埼玉・旧騎西高 双葉町民が被災者用カフェ:福島原発事故(TOKYO Web)
古里から離れて暮らす被災者に、くつろぎを-。東京電力の福島第一原発事故で福島県双葉町民が役場ごと避難している旧騎西高校(埼玉県加須市)で二十二日、避難者向けのカフェがオープンした。市内のアパートで一人娘と避難生活を続けながら、運営スタッフになった双葉町民の鵜沼友恵さん(37)は「不安や孤独感を癒やせる場にしたい」と話す。 (石井宏昌)
原発事故から一年七カ月がたった今も約百八十人の双葉町民が暮らす旧騎西高校。廃校前は合宿所に使っていたホールの一角に、ソファやテーブルが置かれている。ここが「Fカフェ珠寿(じゅじゅ)」だ。
「砂糖はよーくかんまがさないと(かきまぜないと)」「双葉の言葉はいいね」。コーヒーカップを手に笑顔が広がる。この日は役場で内部被ばく検査が行われ、福島県内で避難生活を送る町民の姿も。福島市に住む男性(61)は「もてなしがいいんで、しょっちゅう来なくちゃね」と笑った。
福島(Fukushima)、双葉(Futaba)、未来(Future)の頭文字Fに、「人をつなげる」「健やか」などの意味を込めて「珠」「寿」を加えた。避難者からアイデアを募って命名した。
スタッフは鵜沼さんと、双葉町民で加須市内に住む横山とみ子さん(58)の二人。平日の午前十時~午後五時に開店し、避難者や支援ボランティアらにお茶やコーヒーを無料で振る舞う。今後、双葉町民で今は福島県いわき市に避難中の洋菓子店の菓子も提供する。
原発事故後、鵜沼さんは小学生の長女(11)と二人で旧騎西高校に避難し、昨秋に市内の借り上げアパートに移った。双葉町で同居していた夫は震災後、仕事の都合で各地で単身赴任を続けている。
「避難所暮らしも大変ですが、アパートなどに移っても孤立して思い詰めてしまう人が多い。避難者が気軽に立ち寄り、悩みやつらさを分かち合える場にしたい」。鵜沼さんは、自らの避難体験も生かしたい考えだ。
埼玉県によると、埼玉県内には福島、宮城、岩手の各県などから三千人以上が今も避難中で、多くの人が公営住宅やアパートに仮住まいしている。「避難生活や生活再建に必要な情報も提供したい」とも考えている。
カフェを運営するのは、被災者支援を続ける社団法人「情報環境コミュニケーションズ」(さいたま市)。代表理事の愛甲裕さん(52)は「鵜沼さんらは、悩みに耳を傾ける『ゲートキーパー』の養成講座を受講している。カフェに来た人に深刻な悩みがあれば、臨床心理士ら専門家へのつなぎ役としても期待できる」と語る。