旧避難準備区域は対象外 田畑賠償、国が考え示す 市町村は反発
東京電力福島第一原発事故による財物賠償で、国は「旧緊急時避難準備区域」を田畑賠償の対象外とする考えを21日、郡山市の県合同庁舎で開いた「国、県、関係市町村との事務レベル会議」で示した。「避難区域」が設定された12市町村の一律賠償を求める市町村側から反発が相次ぎ、国は市町村からの意見を踏まえ、次回の会議までに調整する。
会議には12市町村の担当者ら約60人が出席し、非公開で行われた。複数の出席者によると、田畑賠償は市場価値の損失・減少分。「避難指示区域」と「計画的避難区域」が対象で、「旧緊急時避難準備区域」の広野町全域と、南相馬、田村両市、川内村の一部を対象外とした。
会議では、経済産業省資源エネルギー庁の担当者が賠償に関する考え方を説明した。これに対し、市町村側からは「除染のために表土を剥いだ土地もある」「放射能の汚染で土地の価値が下がったのは間違いない」などとし、旧緊急時避難区域を田畑賠償の対象に加えるよう求める意見が出た。また、帰還時期によって賠償額に差を設けず、一律全損扱いを求める声もあったという。