6月7日、「未来共生シンポジウム ~企業の100年後を見据えて~ 」(主催 日経ビジネス)が東京のベルサール半蔵門で行われた。
まず、開会挨拶として日経BP社ビジネス局長の高柳正盛氏は日本の企業はビジネスで難題を抱え、環境の世界的状況もあり、難しい局面であると述べた。
社会の企業に対する要求も金銭面だけでなく、いろいろ形で なされる中、企業のCSRは評価され、継続的な活動、CSV、本業での貢献が求められている。
基調講演「サステナビリティ:その多面的な解釈について」として国際連合大学学長・国際連合事務次長のデイビッド・マローン氏が語った。 歴史を振り返ると、第一次世界大戦後のパリ条約では国家賠償、経済制裁が行われたが、このことが大恐慌後の保護主義、ファシズムを生み出した。
国際連盟は安全保障のための国際機関であったが、国際連合はこれらの歴史的反省を踏まえて、安全保障だけでなく、人権、経済開発などの多様な 問題解決のための国際機関となった。
その後、60年代の植民地の解放の時代、また、人権条約(AB)の締結など社会的課題解決が行われ、70年代には環境・持続可能性の問題が顕在化してきた。
国連の環境・持続可能性の問題の最初の会議はストックフォルム会議である。先進各国での取組み、さらに多様なセクターの環境活動にあいまって、リオサミットからの条約締結で大きく環境・持続可能性の問題は進展した。
しかし、途上国が経済成長によってグローバルな環境の悪化が起こり、これに歯止めをかける京都議定書などの試みは一定の評価を与えられるが、途上国の負担がないことで、途上国での環境問題が増加し、グローバルな環境の悪化として気候変動が進んできた。
途上国では、産業による環境の悪化だけではなく、農業による環境の悪化も引き起こした。
緑の革命は、多くの食物をもたらすと同時に、水を大量に使い、 肥料を大量に使用することで土壌に悪影響を与えた。
今度の国連のミレニアム開発計画では、これらを反省して、目標6では水と衛生、目標7では持続可能なエネルギーを定めている。
環境でも、気候変動の問題でも日本は過去も主導的な立場であったし、今後も期待したい。
質問に答えて、企業の行動(政府の行動も)は、このようなグローバルスタンダードを進めてほしい。
特に国外・途上国での事業が多い日本企業や多く存在する中小企業に期待しており、また、日本企業がグローバルコンパクト(ルールブック)に果たしている役割を高く評価し、 中国、途上国がグローバルな責任を担うようになるための模範となってほしい。
アフリカ開発会議で論議されたが、先進国と途上国の関係も変化しつつあり、アフリカの人口低下も想定される時代となった。
もはや、アフリカの中進国は援助だけでなく提供するものがあるので、日本の企業はアフリカと持続可能な開発をすすめて欲しい。
次に「林から紙を作る―新しいビジネスモデルへの挑戦~APPが実践する資源循環型経営~」としてエイピーピー・ジャパン取締役の山中一士氏、「独自のゴム技術で持続可能な社会の実現に貢献」として住友ゴム工業代表取締役社長の池田育嗣氏の報告が行われた。
また、パネルディスカション「私たちの考えるサステナブル経営」、特別講演「P&Gのサステナビリティ」としてのプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン代表取締役社長の奥山真司氏の講演が行われた。