10月5日、「日本のESDを捉え直す:国際的な潮流から見た実践・研究・政策課題」(主催:日本国際理解教育学会国際委員会)が東京の聖心女子大学で行われた。
「日本のESDの「ガラパゴス化」が近年指摘されるようになりました。その背景には、国際的な舞台で発信されている情報が日本国内で十分に共有されていないことやESDに関する批判的な論考が十分に紹介されてこなかったことなどがあると言えます。「ESDの10年」を締めくくる「ESDに関するユネスコ世界会議」が1年後に日本で開催されることを考えると、こうした現状を変えていく努力はこれまで以上に求められているといえるのではないでしょうか。この学習会では、WEEC(世界環境教育大会)など、最近、開催されたESD関連のグルーバルな動向や実践や政策上の課題を吟味した上で、日本におけるESDの現状と課題について参加者の皆さんと共に考えます。」
まず、同学会の永田佳之氏(聖心女子大学、ユネスコ本部ESDモニタリング評価専門家会合委員)が、ESDの国際的潮流との乖離、教育・ESDをめぐる国際会議での日本のプレゼンスの不在、ESDをめぐる批判などについてレクチャーを行った。
日本の国際教育・ESDの内向き、自己内充足、自己完結の問題点を指摘し、ユネスコのESD評価第2レポート「ESDのプロセスと学習」、「ESDレンズー政策及び実践のためのレビューツール」などの国際的レベルとの乖離を述べた。
また、「ESDをめぐる批判」として、SDは善か?、人間中心主義、環境中心主義に対する批判、目的論(ための教育)に関する批判などを述べた。次に、教育・ESDをめぐる国際会議での日本のプレゼンスの不在として2012年トビリシ会議(12年9月グルジアのトビリシで開催された「持続可能な開発のための環境教育政府間会議」)に日本政府代表団はなく、この過程で生まれたグローバルアクションブログラムへの関与度が低い。
しかしながら、日本国内の実践としてユネスコスクールなどの学校の取り組みを取り上げ、ESDによるいじめの問題、日中韓の関係構築などがESDによって可能になるといい、その道筋を述べた。