ESD多摩地域ミーティング
多摩市教育委員会・稲城市教育委員会主催
協力 認定NPO法人持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD-J)
5月23.24日、ESD多摩地域ミーティングが多摩市教育委員会・稲城市教育委員会主催(協力 認定NPO法人持続可能な開発のための教育の10年推進会議ESD-J)で行われた。
23日(金)「多摩地域のESDの特徴と効果を分析する」
多摩市立永山小学校(多摩市永山2-8-1)
「地域と連携した養蜂の取り組み」
稲城市立稲城第三小学校の前田忠主幹教諭が地域と連携して、ただ知るのではなく、手を動かして育て、収穫し、育てる学習の意味を養蜂をテーマとしたESDの具体例を通して述べた。
「学校林の取り組み」
多摩市立豊ヶ丘小学校の小林佳世校長が同校の学校林を活用したESDについて述べた。
「次世代リーダー育成講座」
多摩循環型エネルギー協会理事の山川勇一郎氏が市民による学生を対象とした「次世代リーダー育成講座」について述べた。
「農業を軸にしたまちづくり」
FIO株式会社代表取締役船木翔平氏が、農業を軸にした持続可能なまちづくりと学びについて語った。
セッション2 ワークショップ「多摩地域のESDの特徴と効果の分析」
4つの報告(小、中、NPO、企業)と分析ワークショップは、これまでの5年間の多摩地域での実践の特徴と成果を明らかにした。多摩では、これまでの「教え込み」の学校文化は明らかに変わりつつある。子どもたちの主体性を大事にし、動機付けによる興味・関心の喚起を重視する。体験から気づいた課題を子どもたちが追究していく。そこでの教師の役割は「聞いて・助けて・見守り・まかせる」ファシリテーターの役割だ。ストーリーを持った探究学習を教科の基礎がサポ-トする。
子どもたちの思いを教師が引き出し、学習の展開に応じて教育連携コーディネイターが市民のボランティアや専門家と子ども・親・地域をつなぐ役割を果たす。
これからの課題も明らかになった。一つは、そのストーリーのコンセプトをみんなで鍛えることである。今回参加した食・農、エネルギー、障がい者・高齢者も働く共生のまちづくりの地域での実践者たちが、「地域に産業・仕事をつくりだ」し、子どもや若者、女性、障がい者、高齢者みんながそれぞれの出番と居場所と交流をつくろうと提案した。(フィンランドの学力が世界一になった動因はアントレプレナー教育であったことを思い起こそう。アントレプレナー:起業家)
もう一つは、多摩独自のESD評価軸をつくることである。5年間の実践は、自分たちがやってきたことを自分たちで評価したいという強い欲求を生み出した。今回のワークショップの成果を整理することによりそれははじめられそうだ。
●24日(土)「どうやる?! 2050年の大人づくり」
稲城市立稲城第六中学校(稲城市若葉台3-11)
分科会1:「エネルギーから考える」
コーディネーター多摩循環型エネルギー協会理事 山川勇一郎氏
分科会2:「食から考える」
コーディネーターFIO株式会社代表取締役 船木翔平氏
分科会3:「防災から考える」
コーディネーター富士ゼロックス株式会社営業計画部復興推進室 中川愼一氏
分科会4:「国際理解から考える」
コーディネーターJICA多摩地区デスク 浦 輝大氏
分科会3 防災分科会
多摩地域では2050年の大人づくりとしてのESD・地域・世界を持続可能にする教育を行っていて、今年のユネスコと日本政府の国際会議で気仙沼市・教委の取り組みとともに取り上げられる。
教委がサポートとして学校ではESDの取り組み(環境・農業、国際交流etc)のひとつにいろいろな教科や行事を関連づけて、児童生徒が防災にも取り組んでいる。
そして、今回は児童生徒が自助と共助を中心として地域と連携した防災の取り組みが発表された。
◎自助の取り組みとして自助パックの制度化とESDのプログラム化
「防災安全教育と教育施策」
「防災教育〜自助パックに関する授業」
◎共助の取り組みとして小中学校連携・地域連携
「小・中学校の災害時下校訓練、宿泊体験」
「地域連携を生かした防災訓練の推進」
「小・中学校の災害時下校訓練、宿泊体験」
多摩市立聖ヶ丘中学校の返田富美教諭が同校が中心になって行った小中学校連携の災害時下校訓練や災害時体育館宿泊体験を中心としたESDを述べた。
「防災教育〜自助パックに関する授業」
稲城市立稲城第三小学校の前田和子教諭は防災時に役立つ自助パックをESDとしての授業実践について述べた。
「地域連携を生かした防災訓練の推進」
稲城市立稲城第五中学校の安達恒三校長はESDとしてつながりを重視した地域連携を生かした防災訓練について述べた。
「防災安全教育と教育施策」
多摩市立東愛宕中学校の千葉正法校長はESDの具体化としての自助パックの制度化の経緯と東愛宕中学校のESDとしての自助と共助の取り組みについて述べた。
全体会 ワールドカフェ「どうやる、2050年の大人づくり」
4つの分科会(食・農、エネルギー、防災、国際理解)とワールドカフェ(対話)が今後の多摩地域でのESDの取組の方向を明らかにした。百年の大計を議論しコミュニティのサバイバル戦略を描く。その一つの中心はコミュニティ・スクールとしての学校だ。それをガッチリと地域が支える。サバイバルの中心は食とエネルギーだ。都市と農村、消費者と生産者、その境目に多摩地域はある。自らも自給しつつ、双方をつなぐ役割を果たす。学生もまた学校とテーマ、地域をつなぐピアリーダーとしての役割を果たす。そうした地域全体の学びあいの仕組みをつくること、その中で俯瞰的な見方ができ足元も考えられる自律的で主体的な子どもが育つだろう。
<5.23,24ESD多摩地域ミーティングのレポート>より