第28回ニッセイ財団 助成研究ワークショップ「生業と地域社会の復興を考える一宮城県石巻市北上町の事例から」が11月29日に法政大学で開かれた。
「平成23年3月に起こった東日本大震災は各地に未曾有の被害をもたらしました。その復興に向けた取り組みは様々なされていますが、3年半余りが経過した現在においても未だその途上にあり、まだまだ長い時間を要する状況にあります。被災地は豊かな自然環境に恵まれていますが、第一次産業と自然環境は密接な関係を有しており、第一次産業を再生することが自然環境を再生するための重要な方策でもあります。また同時に、この復興は、単なる復旧(現状回復)ではなく、持続可能な社会・自然共生社会・低炭素社会に向けた新たな地域づくりを目指すものでなければなりません。
今回の研究は、「生業の創出を核とした地域社会の回復力を形成する」と題したテーマのもとに、被災地の一つである石巻市北上地域を具体的な対象とし、地域社会のレジリエンス(回復力)の形成を課題としています。特に生業の構造に着目し、それを地域社会の持続性にどう繋げていくかという、地域に密着した観点に基づき進めてきたものです。
まず、代表研究者である法政大学の西城戸教授から調査研究の概要と当ワークショップ開催の趣旨を説明いただき、その後、各研究者から研究成果の発表をいただきます。最後に、コメンテーターと発表者、参加者の皆様で今回のテーマについて討論いただきます。」
「石巻市上北町とのかかわりと実践的調査研究の概要」を西城戸誠氏(法政大学)が述べた。
「高台移転をめぐる制度と住民の時間」として平川全機氏(北海道大学)、「震災後の地域農業の展開にみる生業復興の構造」として宮内泰介氏(北海道大学)、「漁業復興における協業化の意義と役割」として髙﨑優子氏(北海道大学)の発表が行われた。
「子育て環境の復興・再生における女性の活動」として庄司知恵子氏(岩手県立大学)、「被災地における地域サポート人材の役割と課題」として図司直也氏(法政大学)が発表した。
その後、コメントとコメント応答が行われた。