コンピテンシー・ベースの功罪 オンラインシンポジウム
近年、日本でもフランスでも、コンピテンシー・ベースが、学校の教育実践の主軸となりつつある。日本の2017・2018年の学習指導要領改訂は、各教科の知識の伝達を中心とするのではなく、知識を活用して実践する資質・能力
(コンピテンシー)を育成・評価する教育課程へと転換することを謳っている。
日本でコンピテンシーは、一般に資質・能力のなかば同義語として、どんな状況でも発揮できる汎用的な能力という意味で使われている。
一方、近年のフランスの学校教育において、コンピテンシーは、経営分野や職業教育で1960年代以降使われ始めた定義、すなわち、複数領域の知識や技能などを総合して、特定状況の課題を解決する力として理解されている。学習
指導要領にも各教科で育成すべきコンピテンシーが示されるなど、コンピテンシー・ベースが浸透してきている。
フランスと日本におけるコンピテンシー・ベースの教育とはどのような学力をいかなる方法で育成・評価しようとするものであり、なぜ導入されたのか。
この導入により、学校の教育実践がいかに変わったのか。コンピテンシー・ベースの功罪は何か、恵まれない境遇の子どもたちの学力向上にもつながるものなのか。
本シンポジウムでは、以上の問いに迫ることで、どの児童・生徒にも学習権を保障する、めざすべきコンピテンシー・ベースの学校教育のあり方について探究したい。